君を幸せにします /uszw ページ40
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寒いからやめようぜ、と駄々をこねる牛沢を無理矢理引っ張って初詣に来た。
神社はすごく混んでいて並ぶ必要がある為突き刺すような痛みに早速心が折れそうになる。
たくさん着込んだ私に対して牛沢はパーカーにアウターを羽織っただけだから多分馬鹿だ。
案の定、欠伸をした牛沢の手先は赤く染まっていた。
「手袋すら付けてこないとか寒いに決まってるじゃん」
「えーじゃあAの一個寄越せよ」
私の返事も待たず右手の手袋を奪った牛沢はあったけーと笑った。
そのまま手袋をしていない方の手で指を絡めてくるから本当にこの男はずるい。
今牛沢の方を見たらニヤニヤと笑われるのは分かりきっているので俯いてから手にぎゅっと力を入れた。
一瞬ビクッとした牛沢に満足して笑うと照れ隠しに小突かれた。痛い。
「そういえば牛沢は何をお願いするの?」
「こういうのって人に言っちゃダメだったはずだけど。っていうかお願いって言うより決意表明するんじゃなかった?」
「あれ、そうなんだ。じゃあ去年は?」
そう聞くと牛沢は頬をかいてそっぽ向いた。
秘密ですー何て言うからそれ以上聞けなくなってしまった。
まあ私も答えるのは気恥ずかしいから丁度よかったか、と思ったところで私達の番になった。
何となく五円を投げ入れて2人で鈴を鳴らして手を合わせた。
細かな作法なんか私達には分からないから気持ちだけ伝わればいいのだ、と自分を納得させた。
去年は"牛沢とたくさん一緒にいられますように"と願ったけど、今年はもう決まった。
牛沢に幸せだと思ってもらえるように頑張ります。
強く念じてから牛沢の方を向くと丁度終わったようだった。
再び手を取り歩きながら神様に言ったんだから頑張らなきゃ、と意気込んだ。
その年左手に輝いたそれに、私の方が幸せになっちゃったなあと涙を流したのはまた別のお話。
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作者名:ユシア | 作成日時:2019年10月31日 20時