【実.況.者】まるで覚めない夢みたく【短編集】 (ページ36)

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良い子達は眠らぬ時間 /uszw ページ36

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何がホワイトクリスマスだ。私の会社はブラック極まりないというのに。
心の中では収まりきらない愚痴をブツブツと呟きながらマンションのエレベーターのボタンを押した。

終電を逃したせいでこの雪の中歩いて帰る羽目になったのだから少しくらいは許して欲しい。

「...牛沢はもう寝てるだろうなあ」

良い子でお仕事を頑張ったのだから優しくされたい、なんて願いは多分叶わないだろう。

まあAサンタの出番が出来るし寝てたら寝てたで好都合だからいいか、と静かに玄関を開ける。

寝室に行けば牛沢があほ面ですやすやと眠っていた。
それを確認して、綺麗に包装されたプレゼントを机に置く。

「...牛沢サンタはなんにもくれないんですかー」

もちろん返事はないけど未だあほ面なのに腹が立ってほっぺにキスしてやった。ふふ、してやったり。
そして私が満足して寝室から出ようとした時、突然腕を引かれた。

背中に感じる優しい温もり、これは多分バックハグとか言うやつだ。
顔は見えないけど後ろのやつは絶対ニヤニヤしてる。

「プレゼント、あげようか？」

「...やっぱりいらないやめてっ！」

「そんなこと言うなよー」

抵抗しようとする私をくくっと笑いながら押さえつけてくる。
...小さい癖に意外と力は強くて敵わない。

確かに温かさは優しいけど私の求めていた優しさはもっとこう純粋なやつであって断じて牛沢の想像しているものじゃない。

「...あのー牛沢さん...私明日も仕事何ですけど...」

「えー？じゃあ休み取ってよ」

逃げ出す方法を考えているうちに私はベッドに倒れていた。
目の前に楽しそうに笑う牛沢が見えて優しくするつもりは毛頭ないことが分かった。

っていうかこの忙しい年末に仕事を休めなんて無茶なこと言いますね！？

「いつも頑張ってるAに牛沢サンタからご褒美あげるだけだから大人しくしてろって」