夢は夢、君は君 /ky ページ33
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「...キヨって声だけで私のこと分かっちゃうんだね」
怖い夢は確かに見たけど、幽霊とかそういった類のものじゃない。
キヨが私を嫌いになる夢を見た、そう言って覚えてる限りを話した。
話し終わる頃には泣いてしまって、キヨにごめんねとだけ謝る。
『何でAが謝るんだよ。俺が謝るべきだろお前を泣かせちゃったんだし』
ごめんな、と優しく言ったキヨはその後に何故か怒っていた。
夢の中の俺に腹立つわー!!って叫ぶもんだからつい笑ってしまう。
...ああ、不安になる必要何てどこにもなかったなあと頬を緩ませているとキヨが得意気に言ってくる。
『Aを不安にさせたお詫びに今なら何でも言うこと聞いてあげるけど?』
「本当に?」
本当に、とキヨは笑った。
お願いを聞いてくれるなら一つだけ叶えて欲しいことがある。
どうしても今がいいから、丁度いいなあと声を弾ませた。
「...キヨに、会いたい」
私がそう言うとキヨは優しく笑った。
そして俺と一緒のこと考えてんな、と言うから同じことを思っててくれたことにとても嬉しくなった。
今度は嬉し泣きしそうになるのをグッと堪える。
すっかり涙腺は緩んでしまったらしい。
『...すぐに行くから、待ってて』
そう言って電話の向こうから走る音が聞こえてくる。
いつも切るのは私だから電話は繋がれたままだった。
何も話さなくてもいいからこのままでもう少しいさせてね。
キヨが私の為に走ってくれるのが嬉しくてこっそりと大好き、と呟いたけど、それは多分足音でかき消された。
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作者名:ユシア | 作成日時:2019年10月31日 20時