ゼロ周年記念日 /rtrt ページ26
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今日で俺が実況を始めて十一年。
実況を始めた当初から応援してくれていている第一の視聴者でありパートナーのAは目の前で得意気に言った。
「今日はレトルトが主役なんだから、私に任せてね」
「そんなこと言うて、Aがここ来たかっただけちゃうん?」
「バレちゃった?」
えへへ、と笑う姿はいつもより綺麗に見えて変に緊張する。
綺麗やな、なんてストレートに言える程素直じゃないから、とりあえず他愛もない話をすることにした。
「夜景綺麗やし、随分豪華なとこやな」
「友達に教えて貰ってね、レトルトと来たいなって思ってたの」
「...そっ、か」
ニカッと笑うAにHP削られてる気がする。
俺の彼女可愛すぎん?!
もう俺の心臓持たんかもしれん...ただでさえ緊張してるっていうのに。
そっとポケットの上から今日持ってきたものをなぞるとその重さを意識して押しつぶされそうになった。
実際はとても軽いけど、それくらい俺には重要だったから。
しばらくした後に運ばれてきたディナーはもちろん美味しくて、Aもうっとりとしてる。
「こんな良いとこ、庶民の俺には似合わんなあ」
「ふふっ何それ。じゃあ私もだよ」
「いや、Aは似合ってるやろ。今日一段と綺麗...やし......待って今のなし」
あー口滑った俺の顔絶対赤い。
恥ずかしくて腕で顔を隠すようにそっぽ向くと目の前でAがくすくすと笑う。
そんな笑わんでもええやんと思ったけどもう何を言っても墓穴を掘りそうで怖かったから黙々と食べ進めた。
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作者名:ユシア | 作成日時:2019年10月31日 20時