繋いだのは鈴の音 /rt ページ17
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「そういえばAちゃん今日予定ないん?」
「うん、丁度大学からの帰りだったの。レト君も...大丈夫?ごめん、急に連れて来ちゃって」
「全然!気にせんといて」
走ってるうちにたどり着いたのは近くのカフェだった。
お互い適当な飲み物を頼んでから気になってたことを聞くとさっきの行動を反省してるらしかった。
いや、こっちは願ったり叶ったりやから別にいいんやけど。
「高校生だったの、まだつい最近のことみたいに感じるなあ」
「もう2年も経ってるの信じられへんよな」
今まで連絡をほとんどとっていなかったせいもあって話したいことが山ほどある。
夢中になってるうちに気付けば数時間経っていて、空は暗くなり始めていた。
「Aちゃんは暗くなりきる前に帰った方がいいよな?彼氏、とか心配するやろうし...」
自分で言ってて心臓がチクリと痛んだけど知らない振りをした。
こんなに可愛かったら彼氏の1人や2人...いや、1人で十分やけど!いるかもしれんやろ!
「彼氏は...いないから大丈夫なんだけど、レト君こそ彼女いないの?」
「俺は...おらんけど...」
「そっ、そっか」
何とも言えない雰囲気が漂う。
Aちゃんに彼氏がいない、その事実にどうしようもなく安心してる俺がいた。
無言が気まずくて1口ジュースを口に含むとAちゃんも同じようにした。
その味にほっとしたのか口元が緩んでぽつりと呟いた独り言が聞こえた。
「私高校の時からずっとレト君だけが好きだから」
「......えっそれって、」
パッと顔をあげるとAちゃんも自分が何を言ったのか分からないような顔をしていた。
じわじわと赤くなってく顔から、目が離せない。
ぼーっとしてる俺とは反対に勢いよく立ち上がったAちゃんは無言で飲み物が入っていたカップを片付けて全力ダッシュで店から出ていった。
「...まっ、待って!!」
一瞬の間を置いて俺も走り出す。
いつの間にか雨はあがっていて、空には星が輝いていた。
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作者名:ユシア | 作成日時:2021年2月14日 23時