結局絆されてしまうから /ky ページ11
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そろそろ日付も変わりそうな頃。
キヨがいつもより早くお風呂からあがってきた。
びちゃびちゃの髪のままソファに寝転ぼうとするのを止めて手招きする。
「もう、風邪引かれても困るから髪乾かしてあげる」
「やった、ありがと」
もう眠いのか目を擦りながらふにゃ、と笑われる。
ぐっ、その顔普通にタイプだから切実にやめていただきたい！
髪の毛をふわふわと触りながら乾かしていく。
髪短いと乾くの早いからいいな〜とか考えてたらあっという間だった。
「A、キスしていい？」
ドライヤーの手を止めるとくるっと振り返ったキヨは何の前触れもなくそう言った。
時計の針がカチッとなる音がよく聞こえるくらい静まり返った。
...待て待て待て、キヨがキスだけで済んだことある？
言いくるめられてベッドに運び込まれるのは目に見えてる。
明日は仕事...はないけど家事が溜まってるしやらなきゃいけないことはいっぱいある。
「...ダメ」
手の前でバツを作ってバリアのポーズをして後退ろうとしても後ろはソファだ。
キヨの笑顔は増してくばかりだった。
「待ってキヨ、今日は本当にダメだって、」
「あっ2回も言った！」
何で嬉しそうなのか、と頭にはてなを浮かべる私に気付いてキヨはスマホの画面を見せてきた。
ロック画面なんて日付と時間くらいしか表示されてな......あ。
「エイプリルフールなの、気付いた？だからAのダメは嘘ってことになるんだよね」
「でっ、でもそれならキヨだって！！」
キヨが最初に言ったことだって嘘になるんじゃ...そう思ったけどキヨは相変わらず余裕な笑みを浮かべてるだけだった。
...ああ、そういえばキヨがキスしていいか聞いてきた時針の音がした。
あれはギリギリエイプリルフールじゃなかったらしい。
まんまと嵌められた訳だ。
そこまでしてキスしたいのか、と考えたらその必死さが少し可愛く思えてしまった。
その時点で私の負けだ。
「...ダメ？」
「...ダメ」
私の答えに笑顔になったキヨの近付いてくる顔に、そっと目を閉じた。
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ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：ユシア | 作成日時：2021年2月14日 23時
