カクレモノ【全.身.組】 (ページ34)

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「...カクレモノって隠れ物、だよね...」

「は？カクレモノはカクレモノだろ」

「あーそうじゃなくて...」

ふっと頭に浮かんだ可能性を口に出したけどまあそんな反応になるよね。

これは文字にしないといけない、と思い近くの教室の黒板を使うことにした。

カクレモノと隠れ物を書いてキヨに見せると納得した顔になったから続ける。

「私達はこの中に隠れたニセモノを見つけなければいけない、そうだよね？」

「おう。で、あと一つがどこ探しても見つからない」

「...これは、可能性の話なんだけど。こういうことって、ないかな」

そしてもう一つ黒板に書き足した。

"隠れ者"

ここまで書けば多分キヨも分かった筈だ。
その証拠に目を見開いて立ち尽くしている。

「...レトさんが、ニセモノだって可能性は...ない、かな」

「......いや、俺は正直あると思う」

ゲームが始まる前に感じた少しの違和感。
あの時、もう既にレトさんじゃなかったとしたら？

考え始めた予想は留まることを知らず、やがて私の中でそれが確信だと思わずにいられなくなった。

...そりゃあ見つからない訳だ。

やっと動き出したゲームに憂鬱になったのは、私もキヨも同じだろう。

私達が一度も見ていない彼は、きっとどこかで笑っている。

私達の大切な友達に手を出したこと、全力で後悔してもらわなきゃね。