. キヨside ページ23
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あと一分逃げ切れば。
Aと一緒にいれば最悪囮にしてしまえばいいし余裕だろ。
「そういえば、A何回捕まった?」
「1回だけ」
ピース、と口で言いながらドヤ顔をしてくるAにマジかよ、と少し落胆しながら返す。
「俺もしかして2位確定?」
「まあ、さっきみたいに私が負けることはないと思うけどお?」
まだまだですね弟よ、と笑うAはとてもムカつく顔をしている。
さっき負けたからって仕返しのようにイラつかせてくるこいつのコレは本当に才能だと思う。
「双子なんだから姉って言い張るんじゃねーよ」
「まだまだ危機察知能力も何も足りてないくせに」
そう言った瞬間校内の至る所にあるスピーカーから残り時間のカウントダウンが始まった。
無機質なその声が俺の背筋を冷たくしていく。
目の前のこいつは何も言わず俺を見て笑みを浮かべている。
10、9、と減っていく時間はもう少ないのに一刻も早くこの場を離れなければならないと頭が警告を出していた。
そしてやっと踏み出した一歩は、
......Aの方が早かった。
「_____ねえ、オニサン?」
「......ほんっと性格悪いよな、お前」
ぽんっと俺の肩に手を置いて見つけた、とAは嬉しそうに笑い、次の瞬間には俺は正面玄関に立っていた。
『タイムアップです。第二ゲームの順位を発表するので正面玄関までお越しください』
そう校内に響いたゲームマスターの声とともに盛大にため息を零した。
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作者名:ユシア | 作成日時:2019年9月24日 22時