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目を覚ますとそこは黒一色だった。
肯定の二文字を選択したその後の記憶を、どうにも思い出せない。
辺りを見回すと、私の両隣に1人ずつ、真っ白なベッドで規則正しい寝息を立てていた。
2人の姿は例えるなら、というか完全に、眠っている内の1人が使っているアイコンの「それ」だった。
1人は緑のシャツに赤いネクタイ、そして黒いベスト。枕元にはシルクハットが置かれている。
もう1人は赤いシャツに黒いベスト。
体を起こして自分の姿を確認すると、黒いシャツに白いベスト、そして白黒のチェックのネクタイをして真っ黒なスカートを履いていた。
統一感のある正装のようなそれは案外動きやすく、この世界の異様さを際立たせていた。
「...まあ、とりあえず起こすか」
1人でいくら考えていたって結論が出る訳じゃない。
まずは行動を起こすことにした。
私の右隣で眠っているソイツを揺らす。
「起きて、_____キヨ」
「...あと5分だけ......」
寝惚けた声でいうキヨの言葉を信じて待つのは、無駄な行いとなるのが分かりきっているので少し揺らしを強くして言葉を続ける。
「ここ、私達の家じゃないんだから速く起きてくれませんか、キヨサン」
「......は、...？」
恐らく半信半疑で目を開けたのであろうキヨは眼前に広がる光景に言葉を失っていた。
驚愕と困惑の入り混ざったその表情を見た私は、緩む頬を隠さずに左隣へ向かって指を指した。
「はい、おはよう。まずレトさん起こしてくれる？ 話はその後にね」
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：ユシア | 作成日時：2019年9月24日 22時
