カクレモノ【全.身.組】 (ページ19)

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「ここに隠れててもいいけど逃げ場ないしなあ」

ソファの背もたれに倒れて考えた。

ここにいたら確実に捕まる。
...かといって校舎内を歩き回るとオニがいる。

さっき負けたから今回のゲームは勝たなきゃいけない。

「...正面玄関でも見張っていようか」

特にやる事もなかったので次のオニが誰か見られないかと向かうことにした。

やけに明るいシャンデリアに目が慣れない中死角を探す。

こんなに豪華なつくりだからこれが本当の学校だったら楽しいだろうな、とぼんやりと思った。

正面玄関は吹き抜けになっているため2、3階からも丸見えなのが好都合だった。

そっと椅子に座って隠れて様子を伺うがいつまでも来なくて退屈になってきてやめようか、と立ち上がった。

「あーっ！もうキヨ君どんだけ追いかけてくるんや...しつこいなあ...」

階下から大きなため息が聞こえてきて思わず振り返った。
最悪や...と呟きながら歩き始めたレトさんはやがて見えなくなった。

「...もう2人だけで追いかけっこしててよ...」

トムとジェリーを見ているようで楽しい気もしたけど除け者感は否めない。

...ちょっとくらい遊んでも勝てそうだと思ってしまう。
残りはいつの間にか10分を切っていた。

レトさんは確かこの真下に消えて行った。
普通に考えたらきっと、もうすぐ。

ぼーっとした雰囲気をつくり下を見下ろす。
あえて、後ろが見えないように。

「...見ーつけた。Aちゃん？」

「...待ってたよレトさん」

にっこりと嫌な笑みをつけて笑い合う。
ほぼ真後ろにいたが少しの時間稼ぎには逃げることが必要だった。