私の彼氏さん (短編集1)

俺の目を見て？(入野自由) ページ17

「だぁ〜ッ！もう！入んない！」









隣で急に大声を出したので
身体がﾋﾞｸｯ……と跳ねてしまった






『……なに。ビックリさせないでよ！』



「この！目薬！ぜったい喧嘩売ってるよね。」







そう言って私の目の前に押し出したのは
ひとつの目薬。




花粉対策の今話題の目薬だった。









『……うん？』







すこし不機嫌の彼は「入野自由」という。






『……自由、イライラしたら余計入んないよ〜？』







おそるおそる助言してみる。







「……うーん。」









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5分後、









「……無理。やっぱできない。」




そういうと目薬を放り投げた。
「ｶﾗﾝ」と音を立てて落ちるのは

なんだか可哀想に見えてきて。





『……やってあげようか？』



なんて気づいたら口にしていた。









そう言えば、「お願いします！」と嬉しそうに私の隣に座り直すちゃっかりさんで。




『……私も人にやったことあんまないから、ね』




「Aが落とすなら意地でもいれる。」






『真顔やめようか、』







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自由は私の太ももに頭を載せ、
私が自由を膝枕している状態。



『……手が震えるんけど。』



「めっちゃいい。この体制。いい。」




下からの熱い視線に緊張と羞恥が集まる。







「A〜」






ふいに私の名前を呼ぶ。







『……ん？』


「俺の目を見て？」






いきなり真面目に言われれば
そのまま相手の視線と交わる。




すると急に顔が近づいてきて
気づいた時にはもう目の前で







「すき。ちゅーしよ。」


そして額に自由の唇が触れた。







『っ……。』




後々からくる羞恥心が私の顔を赤く染める。

不意打ちが大好きな私の彼は、

計算高いあざとい人で。





そんな彼が大好きです。

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