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終話 ページ48

赤のローブを脱ぎ去って、白いドレスに身を包む。

体を締め付けられ、次から次へと白を纏う。
美しい刺繍、散りばめられた宝石の輝き。
ふわふわキラキラと飾り立てられていく。

何でだろうか、何かが終わったような気がしてどうにも無性に泣きたくなった。


「……なんて顔をしている。」

「あ…ノゼルさん。」

「………。」


青が少し入ったシルバーの正装に身を包んだノゼルさんが、いつの間にか部屋へと来ていた。
その眉間には、皺。
心配させぬようにヘラリと笑えばその皺は更に色濃くなった。

今日は大切な日だというのに。
そんな顔をさせているのは私なんだけれども。


「やっぱりちょっと寂しいなって思っただけですよ、後悔はしていません。」

「……。」


無言で伸びてきた手は頭を撫でようとしたのか、はたまたいつものように頬に触れようとしたのか。
いずれかわからぬままヴェールに阻まれて空を彷徨う。

その手を取って抱き締める。
一瞬驚いたかのように震えた腕はそのまま大人しく私の腕の中に収まった。


「今日から私はノゼルさんのお嫁さん、ですね。末永く宜しくお願いします。」


ドレスのように白く、何も持たない私だがノゼルさんはそんな私を残りの人生全てで受け止めてくれるというのだ。何の不満や後悔があろうか。

すると大人しく収まっていた腕が私の背に回り、お互いの衣装を気遣いつつも抱き寄せられる。


「………愛して、いる。」


小さく耳に響いた言葉は、滅多に想いを口にはしてくれないノゼルさんからのサプライズ。
その言葉だけで私は今、この世の中で1番幸せだと胸を張る事が出来る。

心がギュッと愛しく痛む。
こんなにも私はノゼルさんが好きだ。


「わ、私も……あの、あ…愛して、ます…。」


余りにも言い慣れない言葉すぎてスムーズに口から出てこなかったが、きっと私達はお互い赤い顔をしているだろう。
その顔を見れないのは残念だが……。


(時間だけはこれからいっぱいあるもんね)


いつか、そんな顔も見れたらいいな。
交際期間というものが実はあまり無い私達だから、これから沢山お互いを知って色んな顔を見て仲を深めていけたらいいなと思う。


「新郎新婦はどうぞご移動くださ…失礼しました!」


声を掛けに来た進行役の女性が、抱き合う私達を見て慌てて部屋を出て行った。
私達といえば、顔を見合わせて少し笑い合う。


「行くか。」

「そうですね。」


お互いの手を取り、歩みを進めた。

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夏冬 - ほんっっっっっとに面白かったです!!そして幸せな気分になれました!!!こんなにいい小説は久しぶりです!!!本当にこの作品を作ってくださってありがとうございました!!!!感謝しかないです!!! (6月16日 21時) (レス) @page50 id: 770d92d812 (このIDを非表示/違反報告)
雑草のかきあげ(仮垢)(プロフ) - あ''ぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ好きです!!!!!きゅんきゅんが止まりません!!!!!作者様は私をキュン死させようとしているのでしょうか!?!?!? (2022年9月6日 7時) (レス) @page50 id: dc942b8391 (このIDを非表示/違反報告)
とも - 読み応えがあり泣き笑い、本当に面白かったです!!! (2021年5月9日 6時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 一気に読ませていただきました。表現が細かいのにしつこさが無く、素人特有のわざとらしさも感じられなくてプロなんじゃないかと感じるほどの内容と読みやすさでした。続編、もしくは新作楽しみにしております。素晴らしい作品をありがとうございました! (2020年7月8日 15時) (レス) id: b410464f01 (このIDを非表示/違反報告)
さらちゃん - 素晴らしい作品でした!1日で一気読みさせて貰いましたが最初から最後までキュンキュンさせていただきました(((o(*゚▽゚*)o))) (2020年6月13日 13時) (レス) id: 498426d70a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緋毬 | 作成日時:2019年5月12日 23時

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