夜 ページ4
夢を見る。
冷たい目の夢を。
そしてその目が言うのだ “おまえはもう必要ない” と。
我ながらに女々しいと思う。
少し前まではこんな風に人を想う事など無かったというのに、あの知らせから数日経っても引きずってしまっている。
悪夢と得体の知れない不安感でよく眠れない。
だが時間が空くと嫌でも感じる喪失感はどうしようもなくて気が焦る。
明るい内は任務に明け暮れていれば頭それでいっぱいになるし、時間も経つ。
代わりに夜が、苦手になった。
(散歩、でもしよう…)
部屋を出てひとり、廊下を歩く。
薄暗く照らされた通路を歩いて外に出れば、夜露に濡れた草々が月明かりに揺れていた。
『女があまり夜にフラフラするものではない。』
(また怒られちゃうな。…あぁ、それももう無いんだっけ…寂しいな)
寂しい。
油断をすれば心を埋め尽くすのはそんな感情。
朝起きて、現実に絶望する。
今の自分には忙しい時間だけが唯一の救いだった。
逆にこんな静かで何もない時間は、気が滅入る。
膝を抱えるようにして座り込めば、地面と一体化したような心地になって少しだけ落ち着いた。
肌寒さも今は心地いい。
沈む気持ちをそのままに、深く息を吐いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
早朝。
任務の前に体を動かそうと拠点の外へと出れば、太陽がまだ上がりきっていないせいか冷え込んだ空気にまだ目覚め切っていない身を震わせそうになる。
「ん？」
視界の端にその場で見慣れぬ塊を見つけ、目を凝らしてそれが何かを確認する。
「A…？」
ビク、と反応したその塊がほどけるようにこちらを振り向けばやはりそれはAだった。
「あ、レオ。どうしたの？」
「体を動かしておこうと思ってな！Aもか？」
「そうだね…うん。」
力なく笑う姿に違和感を覚える。
顔色が悪いだとか元気が無いだとか、それもあったと思うが一番は普段から彼女の事をよく見ていたから気付けたのだと思う。
近くに寄ってその頬に手を、触れた。
「冷え切っているではないか…！一体いつからここに！？」
自分の熱を分けるように両手で頬を包み込み問えば、Aは視線を彷徨わせた。
よく見れば髪もしっとり濡れていて、それが夜露なのか朝露なのかいずれにせよ長時間ここに居た事が伺える。
「ちょっと…寝れなくて……。」
となれば夜通しここに居たらしい。
それを聞いた瞬間、ベッドに叩き込むべく彼女を抱き上げた。
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夏冬 - ほんっっっっっとに面白かったです！！そして幸せな気分になれました！！！こんなにいい小説は久しぶりです！！！本当にこの作品を作ってくださってありがとうございました！！！！感謝しかないです！！！ (6月16日 21時) (
レス) @page50 id: 770d92d812 (このIDを非表示/違反報告)
雑草のかきあげ（仮垢）(プロフ) - あ''ぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ好きです！！！！！きゅんきゅんが止まりません！！！！！作者様は私をキュン死させようとしているのでしょうか！？！？！？ (2022年9月6日 7時) (レス) @page50 id: dc942b8391 (このIDを非表示/違反報告)
とも - 読み応えがあり泣き笑い、本当に面白かったです！！！ (2021年5月9日 6時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 一気に読ませていただきました。表現が細かいのにしつこさが無く、素人特有のわざとらしさも感じられなくてプロなんじゃないかと感じるほどの内容と読みやすさでした。続編、もしくは新作楽しみにしております。素晴らしい作品をありがとうございました！ (2020年7月8日 15時) (レス) id: b410464f01 (このIDを非表示/違反報告)
さらちゃん - 素晴らしい作品でした！1日で一気読みさせて貰いましたが最初から最後までキュンキュンさせていただきました(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年6月13日 13時) (レス) id: 498426d70a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年5月12日 23時
