秘める想い ページ7
『私がこのままここに残る事はお許し頂けました。』
シルヴァ家へ訪問したAが持って返ってきたのは、吉報と凶報の両方だった。
吉報は、このままこの団に在籍していられるという事。
Aが心から望んでいた事だったが、そう上手くは行かないだろうと思っていた。
話が進まなかった場合には自分が出て話し合いをしようと思っていた。
むしろそうなるだろうと踏んでいた。
だが結果は真逆で。
傍に置きたいと望んだものをそう安々撤回したことに疑問を持った。
ノゼルは、執着心が強い方だ。
その結果を不思議に思えば続けてAは言った。
『ノゼルさんと婚約する事になりました。』
瞬間、凍りつく場の空気。
レオも私も耳を疑った。
当初からずっと、Aは結婚や婚約に対して後ろ向きだった。
それが一転して婚約に応じると言う。
発したレオの疑問も分からなくはない。
ここに残ることを通すために妥協したのではないかと。
しかし話を聞けばそうではないらしく、聞けば聞くほど一体誰の話をしているのかと思うほどノゼルはAに対して柔軟さと妥協をしたようだ。
ずっと燻っていたその不安や悩みも聞き出し、周りに口は出させんと公言したと。
(あの、ノゼルが…)
レオと同じくそう思わずには居られなかった。
王族というものに頑固なまでのこだわりと誇りを持ち、融通の利かないノゼルが。
Aの要望を聞き入れ、助力をするというのだ。
(人は…変わるものだな)
そうして直感したのは、ノゼルは自分の気持ちに気付いたのでは無いかという事。
気付き、手にしたいと切望し、壁となるもの全てを排そうとしたのではないだろうか。
(名を捨て実を取る、か)
らしからぬ。
あまりにもらしからぬその行動に驚きと、感心。
嫌がるAがシルヴァ家に収まり幸福とはいい難い半生を送るのではないかと、心配していた。
自分の手の内から離したくないという思いも確かにあった。
だが。
Aが納得し、望み、それが幸せだというのならば。
どこに止める必要があるだろうか。
(幸い、まだ伝えてもないしな)
匂わせるような事を言っても、あの生真面目なAはまさか自分が想われているなどと夢にも思わないらしい。
自信の無さと自己評価の低さも起因しているのだろうが、自分たちの肩書も要因となっているようだ。
(ノゼル、Aは手強いぞ)
脳裏に浮かんだ銀色のライバルは、いつも通り不機嫌そうな顔をしていた。
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緋毬(プロフ) - メリアさん» 普段は隙が無さ過ぎて見れなさそうですもんね！興味深すぎます（笑 (2019年4月19日 23時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 前髪解いたらどんなノゼル兄様になるのか見てみたいですね！ (2019年4月19日 23時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - モンキッキーさん» いつもありがとうございます♪私もドキドキしながら作ってるので、これからも一緒にドキドキしてください(´∀｀*) (2019年4月14日 23時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
モンキッキー(プロフ) - とても面白いです！読むたびにドキドキさせられます！これからも更新楽しみにしてます、頑張ってください！ (2019年4月14日 23時) (レス) id: c0ef88c023 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月14日 22時
