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聞こえた噂はいくつもあった。
何かしらの裏取引があったやら、弱みを握って脅したやら、果てはAが私を
出処不確かで根拠の無い噂など直ぐに立ち消えるだろうと思っては居たが、それにしてもAの悪女説には腹立たしく思う。
大方、今までに断ってきた縁談の相手や夜会で騒動を起こした家の者の仕業だろう。
(奴らは知らんだろうな…)
Aの無欲さを。
心根の優しさを。
『行きたい場所、というよりは…ノゼルさんとゆっくり過ごしたいな。』
『ノゼルさん普段お忙しいですし、ゆっくりして欲しいなって思いまして…。』
どこへでも連れてやろうとすれば、彼女はどこでもなくそう答えた。
よくフエゴレオンの側で仕事をするAは団長というものを正しく理解しているようで。
望まなければ休みなど無く、休みでも招集があれば即座に駆けつけなければならない。
団員を信用していても結局の所、団長としての仕事が減る訳でも軽くなる訳でもない。
当然、気を休める事など無いに等しい。
(ゆっくり、か)
考えなければならない事が多い中、Aと関わるようになって煩わしさが増えるかと思った事もあったが、逆にそういう事を一時的に忘れる事が出来る。
一旦頭から切り離すことで、スッキリと整理されて上手くいくこともあった。
(何より…)
共に居て、気が安らぐ。
王族として団長としてシルヴァ家の長子として。
どこに身を置いてもついて回るその事が、今後共にある予定のAの前では無いも同じ。
ただ対等に人としてあることが気楽だ。
未だに少し怖がられては居るが。
(今はまだ)
彼女を王族に迎え入れるというよりも、ただ対等にありたい。
自分に慣れ、普段のように過ごせるようになって欲しい。
『お兄様、聞かれました？Aさんとの噂。』
ネブラがそう言って持ってきた情報。
『色々と流れてたんですけれど、今まことしやかにされてるのは1つの噂ですのよ。』
ー王族シルヴァ家長子は婚約者を溺愛しているらしい
いくつかの貴族やそれに近い者から流れたその噂は、あちこちで信憑性を増して広がっているらしい。
それは最も事実に近い噂。
それを知るのはひと握りも居ないが。
己のライバルと笑みを浮かべた妹の顔が頭をよぎる。
今はまだ本人は気付いていないだろう。
(いつかは)
Aにも伝わるといい。
自分が抱く、この想いに。
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緋毬(プロフ) - メリアさん» 普段は隙が無さ過ぎて見れなさそうですもんね！興味深すぎます（笑 (2019年4月19日 23時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 前髪解いたらどんなノゼル兄様になるのか見てみたいですね！ (2019年4月19日 23時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - モンキッキーさん» いつもありがとうございます♪私もドキドキしながら作ってるので、これからも一緒にドキドキしてください(´∀｀*) (2019年4月14日 23時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
モンキッキー(プロフ) - とても面白いです！読むたびにドキドキさせられます！これからも更新楽しみにしてます、頑張ってください！ (2019年4月14日 23時) (レス) id: c0ef88c023 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月14日 22時
