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「あ。あの子よ。あんな所に居るわ。」
「あれが？そうなんだー。」
自分の世界浸っていると、少し離れた所からそんな声が聞こえてくる。
そちらに目をやればテラスと会場の堺あたりで数人の女性がこちらを見てなにやらヒソヒソと…しかし聞こえる程の声で会話をしていた。
「何かちょっと着飾って綺麗かもしれないけど割と普通よね。」
「着飾ってってのもシルヴァ家の方々のご厚意でしょう？」
「本人が準備したのかもしれないわよ。必死ね。」
「家門も中流でしょう？」
「まぁ親戚の方にはそこそこの家柄みたいだけど。」
「一体どうやって取り入ったのかしらね。」
どうしてあんな子が。
言わずとも伝わってくる思い。
(わざわざ言われなくても充分わかってるよ)
自分が一番よく理解している。
本来であれば私がノゼルさんの隣に立つことはない。
ただの運。
それも、彼女達のように焦がれて求めていたような幸運ではなく、単にめぐり合わせ。
きっとそれは、私でなくても良かった。
たまたまノゼルさんの目に止まっただけ。
「しかも紅蓮の獅子王らしいわよ。」
「え？騎士団なの？」
「銀翼じゃないんだ、変なの。」
「そんな出会いがあるなら私も入団試験受けとけばよかったー。今からでも遅くないかな？」
好き勝手言ってくれる。
出会いを求めて入団した訳じゃないんだけど。
志の無い貴族のお嬢様は脱落するのが目に見えてるよ。
深呼吸してざわめく心を落ち着かせる。
ここに居てもゆっくり出来そうにない。
(戻ろう…)
彼女達も追ってまでは来ないだろう。
戻るにはあの集団を突っ切らなければいけないが仕方ない。
グラスの水を飲み干し、足を会場へ向ける。
私は今、ノゼルさんの婚約者としてここに立っている。
恥じる事など無い。毅然とした態度で居ればいい。
彼女達の間を通り過ぎようとした時、その内の一人がボソッと呟いた。
「むかつく。」
その言葉と、突如出された足。
一瞬気付くのが遅れてしまい、まんまと足を取られる。
(立て直せない！ーー転けるっ‼ )
ここで転けてしまったら、きっと悪い意味で場の注目を集めてしまう。
ネブラさんとの特訓も全部が水の泡だ。
だが、なすすべも無く…衝撃に体を備える。
だが床に叩きつけられる事はなく、誰かにぶつかり、体を支えられる。
「あ、ありがとうございま…。」
「何をしている。」
私を支えたのはノゼルさんだった。
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緋毬(プロフ) - メリアさん» 普段は隙が無さ過ぎて見れなさそうですもんね！興味深すぎます（笑 (2019年4月19日 23時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 前髪解いたらどんなノゼル兄様になるのか見てみたいですね！ (2019年4月19日 23時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - モンキッキーさん» いつもありがとうございます♪私もドキドキしながら作ってるので、これからも一緒にドキドキしてください(´∀｀*) (2019年4月14日 23時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
モンキッキー(プロフ) - とても面白いです！読むたびにドキドキさせられます！これからも更新楽しみにしてます、頑張ってください！ (2019年4月14日 23時) (レス) id: c0ef88c023 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月14日 22時
