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「いただき、ます。」
神妙な面持ちでフォークを取り、まずは生菓子から手を付ける。
きめ細かな生地と生クリームがとても滑らかで口の中に繊細な甘さが広がった。
美味しさで打ち震えそうになる体を抑えて紅茶を口へと運ぶ。
「美味しい……。」
口の中に濃い、それでいて渋みの全く無い純然な紅茶の味わい。
葉もいい物だろうが入れ方も最高なのだろう。
「お待たせ致しました。」
そのタイミングでノゼルさんへコーヒーが運ばれてくる。
恐らく、私が贈ったものだろう。
少しの間香りを楽しむようにして…ひとくち。
「…良いな。」
「嬉しいです！」
思わず零したであろう言葉に、とても嬉しくなる。
美味しいお菓子とお茶。
大きな窓から見える青空と差し込む日差し。
多分、私はだいぶ締まりのない顔をしている事だろう。
私のために考えて、これを用意してくれたのだと思うと胸がドキドキする。
ノゼルさんが私を見守る、その視線の柔らかさにも。
「ありがとうございます、どれもすごく美味しいです。」
「そうか。気にせず食べるといい。」
「はい！」
ノゼルさんの優しさを実感しながらフォークを進める。
どれに手をつけても最高の味わいだった。
味もそうだが、一番は…。
「…何だ。」
「あ、いえ…。」
「言え。」
いつの間にかジッと見てしまっていたらしく、そう言われる。
言葉にするのもどうかと思い言い淀んでいたが、無言の圧力に負けて口を開いた。
「前にお会いした時に、一人でよく甘いものを食べに行くとお話したと思うんですけど…。」
「あぁ。」
「やっぱり誰かが居て、美味しいって言える方がより楽しめるなと思ったっていうだけなんです。」
一人の気楽さ。
それを天秤にかけても黙々と一人で食べるより、こうして誰かとお茶するほうが楽しい。
時々は叔母さんと行くこともあるが、誘い誘われというのがあまり好きでなかったので今まではそんな発想に至らなかった。
「……。」
「大した話じゃなくてすみません…。」
「…ならば。」
「？」
「手の空いた時ぐらいは付き合ってやっても良い。」
「へっ！？」
表情を変えずにノゼルさんがそう言った。
…友達の居ないかわいそうなヤツだと憐れまれたのかもしれない……。
でも、その気持が嬉しくて。
ノゼルさんは甘い物をあまり食べないのに。
私に付き合ってくれるというのだ。
「じゃあ、またお誘いしますね。」
「あぁ。」
窓の外で、木漏れ日が嬉しそうに揺れた。
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緋毬(プロフ) - ロロクスさん» ありがとうございます！今の所コンスタントに更新できてるので今後も続けていきますね(*`･ω･)ゞ (2019年4月12日 21時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ロロクス - とても面白いです！次の展開が気になります！更新頑張って下さい！！ (2019年4月12日 19時) (レス) id: 975f0eb9b3 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» ようやく自覚する所までこぎつけました…！これから…どうしましょうね！（笑）流れに任せます！！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - ノ、ノゼルが恋....！初恋でしょうか？これからの展開が楽しみです！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» 感想ありがとうございます！励みになります♪ ノゼルさんはきっと照れると目を合わせてくれなくなります（笑） (2019年4月10日 15時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月5日 7時
