甘いおもてなし ページ49
何となく予想はしていたし知っていた。
そうだよね、王族だもの。
「お城かぁー…。」
予想はできてもいざ目の当たりにすると夢かと思う。
しかし目の前のそれは確かに城だ。
その場でしばらく呆けていたが、ふと我に返って足を進める。
「伺っております、どうぞ中へ。」
表に居た人に声を掛ければそう返事が返ってきて、中へと案内された。
付き従って屋内を進めば、邸内で働いている方たちがその手を止めて一礼してくれる。
(すごいなぁ…こんな環境で育ったのかぁ…)
格差、その二文字が頭をよぎる。
この国のピラミッドのほぼ頂点の存在。
改めて王族という重みがひしひしと伝わってきた。
「ノゼル様、お客様をお連れ致しました。」
「入れ。」
中からノゼルさんの声がして、部屋の扉が開かれる。
そこは、応接室なのか食事室なのか、大きな机とたくさんの椅子が並んでいた。
大きな窓から入ってくる陽の光で満ちた明るい空間はそれだけでも煌びやかだが、部屋のいたる所に生花が飾られていて絢爛さが際立っている。
「本日はお招き頂きまして、ありがとうございます。」
「あぁ。…こちらへ。」
形式ばった挨拶をすれば、ノゼルさんに近いところの椅子を促されて腰を掛ける。
向かいにはノゼルさん。
あ、椅子、ふっわふわです。
座ってびっくり。
「あの、これ…もしよければ。コーヒーなんですが…。」
おずおずと差し出せば、少し間をおいて受け取るノゼルさん。
そのまま近くに控えていた方に手渡して入れてくるように指示している。
「失礼いたします。」
後ろの扉が開き、執事のような人が入ってくる。
と。
その場に甘い香りが広がったので思わずそちらに目をやった。
そこには、ワゴンに乗った美味しそうなお菓子の数々。
水菓子や生菓子、焼き菓子…。
「わぁ…！」
思わず口から感嘆の声が漏れれば、ノゼルさんの雰囲気が和らぐ。
「甘いものが好物だと言っていたからな、作らせた。」
「い、頂いていいんですか！？」
「そのために用意させたのだ。好きなだけ食べるといい。」
そのプレートは私の前へと置かれ、洗練された動きで紅茶も注がれる。
澄んだ濃い琥珀色がカップへと踊り、立ち昇る芳醇な香り。
その美しさと香りの良さに思わずため息を吐けば、ノゼルさんは満足げに、ほんのごく僅か口角を緩める。
私はというと、目の前の幸福に目を輝かせるのに夢中だった。
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緋毬(プロフ) - ロロクスさん» ありがとうございます！今の所コンスタントに更新できてるので今後も続けていきますね(*`･ω･)ゞ (2019年4月12日 21時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ロロクス - とても面白いです！次の展開が気になります！更新頑張って下さい！！ (2019年4月12日 19時) (レス) id: 975f0eb9b3 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» ようやく自覚する所までこぎつけました…！これから…どうしましょうね！（笑）流れに任せます！！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - ノ、ノゼルが恋....！初恋でしょうか？これからの展開が楽しみです！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» 感想ありがとうございます！励みになります♪ ノゼルさんはきっと照れると目を合わせてくれなくなります（笑） (2019年4月10日 15時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月5日 7時
