・ ページ13
「せいぜい俺の為に働け。」
「嫌だよ自分で何とかしてよ王族様。」
お店の商品をお互い適当な事を言いながら見ていく。
端から見ていくが、惹かれるものはあまりない。
それはソリドも同じなのか手に取っては戻している。
「んー…ちょっと違うなぁ…。」
「あぁ？何か探してんのか？この俺に見合うものは無かったが、お前程度なら色々使えんじゃねーのか？」
いつの間にやら隣に来ていたソリドが私の手元を覗き込む。
持っていたのは錫製の小物で、魔力を回復させる効果があるようだ。
じっと見つめて悩んでいたAだったが、そこでふと思い出す。
ソリド。ノゼルの弟。
そうだった、ならば好みにも詳しいはずだ。
この際仕方がない、とAはソリドに怒鳴られるのを覚悟でそれを聞くことにした。
「王族様ソリド様、私にノゼル団長の好みを教えてください！」
「は！？おまえがノゼル兄様の好みになろうなんざ10回生まれ変わってもありえねぇ！俺はまだおまえがノゼル兄様と婚約する事認めてねーぞ！つかそんな時だけ様つけて呼ぶな！」
あ、聞き方間違えた。
ガルルルと唸り声を上げそうな勢いでこちらを威嚇してくるソリド。犬か。
だがここは誤解を解かねば有力な情報は得られそうにない。
「違うって、お見舞い諸々のお礼の品をね…。」
「あぁ？平凡貴族が王族であるノゼル兄様に贈り物しようと思う事自体が無謀なんだよ！」
言ってやったぜ！みたいな顔してるけどソリドくん、残念ながらもうそこには悩んでないんだなこれが！
ただほら、何色が好きとかどんなのを愛用してる、とかあるじゃん？そこを聞きたいんです私。
「ふーーーん。じゃあソリドが敬愛するノゼル団長に色々施してもらった私は、それを甘受してお返しもせずにおけばいいって事ね？」
「はぁ！？」
「じゃあいいや、同じ王族でしかも身内のソリドが言うんだもの。私にはその辺りの王族ルールはわからないからなー。次もしノゼル団長と会ったらソリドがそう言ってたって伝えておこーっと。」
ありったけの皮肉をこめて、思いつく限り煽る。
私は知っているのだ。
ソリドは戦闘中は冴え渡るが、平時は…ちょっとおバカだ。
こう言われて言い返さない訳がない。
「そんっ、おまえ…‼ 仕方ねぇから俺が教えてやるよ！だから絶対言うんじゃねーぞ‼ 」
私、素直なソリドくん大好きよ。
「ノゼル兄様の好きなものはなぁ！鴨のローストだ！！」
あ、全然参考にならないやつ来ちゃった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緋毬(プロフ) - ロロクスさん» ありがとうございます！今の所コンスタントに更新できてるので今後も続けていきますね(*`･ω･)ゞ (2019年4月12日 21時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ロロクス - とても面白いです！次の展開が気になります！更新頑張って下さい！！ (2019年4月12日 19時) (レス) id: 975f0eb9b3 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» ようやく自覚する所までこぎつけました…！これから…どうしましょうね！（笑）流れに任せます！！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - ノ、ノゼルが恋....！初恋でしょうか？これからの展開が楽しみです！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» 感想ありがとうございます！励みになります♪ ノゼルさんはきっと照れると目を合わせてくれなくなります（笑） (2019年4月10日 15時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月5日 7時
