真夜中の訪問者 ページ1
ーーーコンコン
執務室の扉がノックされ、少しばかり驚く。
何故なら今は真夜中。
おおよその団員は深い眠りの中に居るはずだ。
「…誰だ。」
「Aです。」
相手を確認して更に驚く。
入室を許可すると、入ってきた彼女の手には茶器。
「何かあったか？」
「目が覚めてしまって。団長がまだ起きてらっしゃるようだったので、お茶を入れてきました。」
少しは休んでください、そういう彼女はいつもと変わらぬ様子で。
熱が完全に引いたことが伺えた。
「丁度終わった所だ、頂こう。」
「よかった。フエゴレオン団長、夜中まで起きてるとお腹すきません？焼き菓子もあったので持ってきちゃいました。」
いたずらっぽく笑うA。
言われてみれば確かに、小腹が空いている。
寝付けないほどではないが疲労回復には存分に貢献するだろう。
「さすが気が利くな。」
「私が食べたいだけだかもしれませんよ、団長をダシにして。」
「それならそれで相伴に預かろうではないか。」
クスクス笑うAにつられて口元が緩む。
茶を入れて菓子を切り分ける姿を見て、ひとつ気付く。
「髪が濡れているぞ？」
「あ、起きたら汗がすごかったんでシャワー浴びました。」
どうぞ、と渡されたものをひと口。
口に広がるほのかな甘さに、少し疲れが癒えた気がした。
食べ進めながらAに視線をやれば、なるほど。
昼とは違う格好で、寝間着なのか普段より輪をかけてラフな服装だ。
信頼されているからなのだろうが…これは少し頂けない。
「そのままで居れば今度は風邪を引くぞ。こちらへ来い。」
「？ はい。」
椅子から立ち上がり、傍へ来るA。
そのあまりの無防備さに溜め息を吐きたくなる。
腕を軽く広げると、不思議そうな顔をする。
「座れ。」
「え。」
促せば理解をしたらしい。
ピタッと動きが止まる。
そうなる事は読めていた。
なので、腕を引き己の膝へと少し強引に座らせる。
「だんちょ、え？えぇ⁉ 」
Aが肩に掛けていたタオルを手に取り、髪を乾かす。
戸惑いながらもなされるがままのAに焦れ、もう少しからかう事にした。
「真夜中に男と二人きりということが分かっているか？そんなに無防備だと肉食獣に食われてしまうぞ。」
[肉食獣] に意味を込めて伝える。
それは獅子なのか鷲なのか。
どちらとも言わず、どちらでないとも言えず。
もう少し危機感を持つように、と告げてAを解放した。
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緋毬(プロフ) - ロロクスさん» ありがとうございます！今の所コンスタントに更新できてるので今後も続けていきますね(*`･ω･)ゞ (2019年4月12日 21時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ロロクス - とても面白いです！次の展開が気になります！更新頑張って下さい！！ (2019年4月12日 19時) (レス) id: 975f0eb9b3 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» ようやく自覚する所までこぎつけました…！これから…どうしましょうね！（笑）流れに任せます！！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - ノ、ノゼルが恋....！初恋でしょうか？これからの展開が楽しみです！ (2019年4月11日 20時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - メリアさん» 感想ありがとうございます！励みになります♪ ノゼルさんはきっと照れると目を合わせてくれなくなります（笑） (2019年4月10日 15時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月5日 7時
