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「日頃お手入れは?」
「あー…それなりに…。」
「やっぱり肌が若いとハリが違いますね、とっても綺麗なお肌ですよ。」
「ありがとうございます…あははは…。」
るんるんと私の顔にあれやこれやとすり込んでは拭き取り、塗っては落とし。
今は蒸気魔法でひたすら顔に蒸気を当てられている。
明日お化粧する時のお肌のコンディションを整えているらしい。
「立派なレディになってから初めての社交の場ですもの!Aちゃんがこの上なく綺麗になれるよう色々やらなきゃね♪」
そう、叔母さん夫婦には子供が居ない。
私の事を小さい時からずっと可愛がってくれていて、社交の場にも度々伴われて行った。
娘が居たらしたかったのであろう諸々の事をしてくれ、幼いながらに察した私は叔母さん好きなように任せていた。
しかし騎士団に入った事で早々そういう場にも顔を出すことが減り、もしかしたら少し寂しい思いをさせてしまっていたのかもしれない。
「明日はお相手と食事だけだから私は一緒に行けないけれど…うちの可愛い姪っ子には最高の状態で臨んでほしいもの!」
叔母さんが喜んでくれるのなら、まぁいいか。
昔のように全て任せておこう。
幸い叔母さんのセンスは私の趣味に合うものばかりだし不安は無い。
(今度帰ってくる時は、叔父さんと叔母さんとパーティーにでも行こうかな…)
気を遣うばかりが孝行ではない。
甘える事も時には喜んで貰えるのだろう。
顔に蒸気を当てながら何やら爪に細工を施され、髪にも蒸気を当てられ、やはり塗ったり落としたりをしながら私は次の休暇の算段をしていた。
「はい、ひとまず今はこれでいいですよ。寝る前にまた少し整えるので食事と入浴を済ませたら呼んでくださいな。」
「ありがとうございます。」
「シエラ、客間へ案内するわ。」
るんるん、とスキップせんばかりの叔母さんはシエラを連れて客間へ向かった。
(な、長かった…!)
自分の頬をつまんでみる。
ぷにぷにモチモチ。
最高の触り心地である。
(え…もしかして私の顔、結構ヤバかった…?)
お手入れなんかは二の次三の次で、最低限の事しかしていなかった私は大いにショックを受けた。
自分の肌がここまで触り心地が良くなるとは……。
(……しよう、お手入れ。ちゃんと。)
固く決意した私は寝る前のお手入れの時、シエラに色々と質問を飛ばすのであった。
それを叔母さんが微笑ましげに影から聞いていた事など知る由もない。
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緋毬(プロフ) - まゆさん» 感想ありがとうございます!今の所いい勝負なのでまだどっちに転ぶかわかりませんね…(笑)私も書いてて楽しいです(*´艸`*) (2019年4月7日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - はじめまして!私はフエゴレオン様が大好きなので、ぜひそっちとまとまって欲しいです。あぁ……でも嫉妬するフエゴレオン様も見てみたい……(///∇///)ゞ (2019年4月7日 14時) (レス) id: 8902c85bfe (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございますヾ(*´∇`*)ノ頑張ります! (2019年4月4日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンプ - 面白かったよ (2019年4月4日 16時) (レス) id: ea5f79410c (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございます、今の所いい具合に進められているので、頑張って走ります(*`・ω・)ゞ (2019年4月4日 9時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋毬 | 作成日時:2019年3月31日 23時