episode100 ページ7
見送りという名の監視をして風見達を門まで同行する。その際に、風見の要望により二人きりとなった。なんでも、命を助けたのにお礼が無くなったのだから、せめて二人きりにさせろとの事だ。
周りからは反発が凄かったが、不審な動きをしたら後ろから総悟がバズーカで撃つということで納得してもらった。
風「刀の構えを見て初めはまさかと思いましたよ」
あ「何ですか?急に敬語なんて」
風「あんたら一族は俺達にとっちゃ将軍と同じ。敬語は当然かと」
確かに一部ではそういう扱いをしている組もあった。ついでに余計な手助けをしてくることも。
あ「そう。なら一つ言っておくよ。邪魔はするな。これは私の仕事だ」
風「そこまで野暮じゃないですが……本気で?」
あ「何度も言わせるな」
横目で睨み付けでも風見は臆さない。
風「初めて会った時に貴方が欲しくて調べたんですよ……何も知らずにね」
あ「それがどうした」
風「分かった時は驚いたが、それよりも入隊してから大分と時間が過ぎてる方が気になりましてね」
あ「情報を掴むのに手こずったんだ。下手に動けないからな」
風「なら良いんですよ。俺はてっきり鬼の副長に惚れ込んじまったんだと思いましたよ」
あ「そんな事あり得ない」
風「手を引かれてた時、満更でもなさそうでしたけど」
あ「斬り捨てられたい?」
風「冗談ですよ。そうそう、黒川の野郎が勢力を集めてるって情報が入ったんで気をつけて下さいよ」
あ「どこからの情報だ?」
風「俺の持てる情報網を全て使ったとっておきの情報ですよ。あなたとこうして面と向かって喋らしてもらってるんで、ささやかなお礼です」
あ「……」
風「間違ってたら俺を斬り捨ててもらって構いません」
あ「一応、礼は言っとくよ」
風「いらないですよ。役に立てればそれで良いんですからね。成功を祈ってます」
あ「お前らも度が過ぎんようにやることだ」
風「善処しますよ。それと……」
あ「ん?何か?」
風「いえ、またいつか」
見送りが終わり後ろを振り向けば土方達がホットしている。それに微笑みながら皆のもとへ。
得意の演技で偽りの感情をぶら下げて毎日を過ごしてきたけど、風見の言う通りだ。笑いあうことやふざけあうことがいつの間にか楽しくなっていた。
だけどそれもお終いだ。
明日は、奴が予告した満月の日なのだ。
─ ─ ─ ─ ─
部「Aさんに何を言ったんです?」
風「あぁ?あんたの幸せも祈ってるってな」
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年5月14日 0時