episode１３３ ページ40
土「アイツっ」
近「待てトシ！」
土「んだよ！今は話してる場合じゃねぇだろ！」
近「良いから聞け！黒川からあることを聞いたんだ」
土「あること？」
黒川から先程聞いた情報に土方は顔をしかめた。
近「Aは憎悪だけが刀に対抗するための手段だった。しかし、それが弱まり食われちまったらしい。だが、もしその対抗する為の感情ってのを奴とまた対等にする事が出来れば、Aを救えるかもしれねぇ」
土「そりゃまた面倒だな」
近「俺にはそれが出来るのはトシだけだと思うんだけどな」
土「んなっ！？」
土方の顔は分かりやすく顔を真っ赤に染め上がった。
土「バカなこと言ってんじゃねぇよ！」
近「いやいや。もうみんな知ってるって」
取り乱しはしたが、すぐに真剣な顔に戻る２人。
アイツと互角にやり合う総悟。２人とも全く引かず凄まじい戦いが続いている。上手くいけば、このまま押し切れるかもしれない。
だが、忘れてはいけないことがある。Aは黒川によって傷を受けているという事を……
戦闘が長引けば、例え刀からは助けられても、命は助けられない。これは時間との勝負でもある。
土「総悟！俺と代われ！」
総「なんでィ、土方コノヤロ。さっきまで怯えてやがった癖に」
土「怯えてなんかいねぇ！……救急車を呼んどけ。すぐに病院に運べるようにな」
総「ったく……しかなねぇですねェ。姉さんの命には代えられねぇや」
総悟は近藤と共に戦場から離脱し、各々がAを助ける為に命を賭けて必死に動いた。
誰もがAを助けたいが為に。
誰もが今でもAを仲間だと認めているが為に。
土方は鞘から刀を抜き、柄をしっかりと握り締める。
眼前に佇む強敵と戦う為に。
眼前佇む愛しい人を、救う為に。
土「こっからは俺が相手だ」
あ「本命の登場だな。お前さえ消えれば、新選組は組織としての機能をも失う。一族の仇をとれ、新選組を潰せる。我としては一石二鳥だ」
土「やれるもんならやってみろ。俺も新選組もそう簡単に壊せると思うなよ！」
あ「世迷言を……貴様こそ、生きてここから帰れると思うな！！」
土「でやぁァァァ！！」
あ「でやぁァァァ！！」
片や愛する人を助ける為。
片や己が一族の仇を討つ為。
土「Aァァァァ！」
あ「土方ァァァァ！！」
どちらが死んでもおかしく無い。
一瞬の隙が全てを変える戦い。
全てを決める二人の戦いの火蓋が、今切って落とされた。
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作者名：暇人の甘党 | 作成日時：2016年5月14日 0時
