episode128 ページ35
――――孤独。
それは一族という温かい関係を奪われ、仲間だと慕ってくれた人達を復讐するの為に捨てた私が、必死に隠し、押し殺してきた感情の一つだった。
あ「……こ、ど……く」
私だって好きで復讐を選んだわけじゃない。ずっと、一族の皆と過ごせると思っていた。使命と寿命。そのどちらかが尽きるまでは、一緒に過ごしていけると。
あ「こ、どく……」
その家族同然の一族を突然奪われた。
孤独という闇に一人、放り出された。
あ「あ、あぁ……」
気付いてしまった。目を逸らしてきた己の弱さに。誰にも頼る事が出来ない恐怖に。ここにいる全員が……土方も、自分の敵だと。
私の中で広がり続ける何かが更に力を増した。
あ「ぁあ……あぁぁぁぁ!」
土「A!」
黒い何かが私の意識を飲み込んでいく。私はここで終わりなのか……たった一人で消えるのか。
――――代われ。お前にはもう無理だ。
誰かが私の中でそう言う。
あ「あ、はは……あはははッ!」
土「Aィィ!!」
誰かが私を呼んでいる。もう、それが誰かも分からない。
私の意識はそこで消えた。
Aは不気味な笑みで土方に腕を掴まれてもただ笑っていた。まるで壊れた人形のよう。
顔には痣のようなものが蛇のように右腕から伸び、頬のところで三本の枝のように広がっている。よく見るとそれは刀の柄から続いていた。
あ「……と、やっとだ。この身体はもう我の物だ」
土「おい!どうしたんだ!?」
あ「退け」
声も見た目も変わってはいないが、中身がまるで別人だ。
近「Aを止めろ!」
近藤の指示で黒川そっちのけで一斉にAを止めに行く。土方も腕をしっかり掴み逃げれないようにしていた。
あ「離せ」
土「しっかりしろ!」
黒「刀に魂を喰われたあいつを止めることは誰にも出来ん」
土「魂を食われた、だと?」
黒「言っただろう。壊すのは簡単だと」
土方の手は振り解かれ、まるで瞬間移動した様に、黒川の目の前にAはいた。
あ「黒川とやら感謝するぞ。おかげで我はこの身体を手に入れることが出来た。礼として、貴様を黄泉の国へ送ってやろう」
ニヤリと笑い再び戦闘が始まった。
そこに新選組が入り込む隙はない。
総「どうするんでィ!このままじゃ……」
土「分かってんだよんなこと!!」
近「落ち着け!苛立っても何も解決しねぇ!」
土「っ!!……くそっ!」
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年5月14日 0時