episode121 ページ28
黒川の部下共も刀を鞘から引き抜く。
互いに臨戦態勢。指一本でも動かせば、止められない戦いが始まるだろう。
近「止めるんだA!」
そんな声は無視して、私は一気に敵との間合いをつめた。
悪いな近藤。もう、手遅れになるのはごめんなんだ。誰かが殺られる前に全員、私が殺る。
通り過ぎる頃にはその場にいた全員が身体から血を吹き出して倒れた。
土「速ぇ……あん時の比じゃねぇ」
一瞬で仕留める技と早さは下手をすれば総悟と互角。
部下が殺られたら出てくるのは中ボスだ。フードをかぶった男が前にふらっと出てくる。
男「さすがと言うべきだな」
あ「お前には薬の礼がある。あれは本当に死ぬかと思った」
男「悪運の強い奴だ。あのままなら楽に逝けたというのに」
あ「運も実力の内さ」
刀が交わる。激しく火花が散り、お互いに一歩も引かない。
男「あの時よりはやるな」
あ「おい。まさか互角に戦えてると本気で思ってるのか?」
あの時の仕返しに、男の腹を力一杯蹴り飛ばした。
あ「この程度で勝てる気でいるなんてね」
もの凄い勢いで飛ばされた男は、壁に激突し血を吐いて気絶した。
黒「ま、まさかッこんな事が……」
あ「こんなんでよく立ち向かおうと思ったな。これならまだ隊士の方がマシだ」
黒「おのれ!こんな出来損ないの女ごときにッ!」
あ「その女にここまでやられてるのは、一体誰だろうな?」
わざと一歩ずつ近づいていく……まるで死が迫ってくるように。
土「そこまでだ。それ以上はさせねぇぞ」
黒川の前に新選組が立ちはだかる。
あ「邪魔。どいて」
総「そうもいかねぇ。こいつにはゲロしてもらわなきゃならねぇことがあるんでね」
あ「どこまで邪魔する気だ」
近「言ったろ?俺達は斬りに来たんじゃない。連れ戻しに来たんだ。これ以上、手を汚させるわけにはいかねぇよ」
あ「とっくの昔にこの手は血で汚れてる。退かないってんなら、斬り捨てるぞ」
両者とも譲る気は全くない。それぞれの目的を成すため刀を握りしめた。
黒「何をしてる!早くその女を斬り捨てろ!」
土「あんたは黙ってろ。これが終わったらたっぷりと尋問してやる」
あ「はぁ……しつこいんだよ」
土「あぁ?」
土方へ向かって斬りかかる。土方は構えるが、一向に衝撃が来ることはない。
あ「あんたじゃない」
土方の後からは先程蹴り飛ばし男が斬りにかかっていたのだ。だから先に斬り捨てた。
あ「味方である者も隙あらば……腐ってるな」
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年5月14日 0時