マヨラー補佐の最後 (ページ27)

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episode１２０ページ27

立ち上がって振り向けば、懐かしい人達が私を見ている。

奴に出会う前に新選組と会っていれば、きっとこうはならなかった。皆が死ぬ事も……影としての使命も全うできていたはずだ。

私達が甘かった。

そう言ってしまえばそれまでだが……新選組と出会えていれば、きっと良い友人関係になれただろうに。

まぁ、そんな事言っても後の祭り。

私が奴を消せば全て終わる。この事件も、使命も。

さぁ、最後の大仕事だ。

新選組の後ろからは、ゾロゾロと人が増えている。その中にあの時のフードの奴もいた。

あ「犯罪者は現場に戻るっていうけど、実証をしてくれてんのか？」

黒「それは君のことじゃないかな？」

あ「面の皮の厚い野郎だな」

黒「君こそ、裏切った者達の前によくも立てたものだ。最初の頃とは随分と違う言葉遣いのようだしね」

あ「敬語ってのは、敬意を持ってる奴に使うもんだ。ここに該当する奴は居ないだろ？」

お互いの静かな挑発的。まるで嵐の前だ。

黒「その減らず口も聞けなくなると思うと、少し名残惜しい気がするよ」

あ「気にするなよ。あの世で聞けるさ。だから……心配せずに逝け」

黒「その圧倒的不利の状況でよくもまぁ強気なものだ。ここに、誰一人としてお前の味方は居らんというのに……なぁ？近藤」

黒川は薄気味悪い笑みを浮かべている。

甘いんだよ、黒川。コイツらみたいなタイプは、簡単には言う事を聞かないんだよ。

近「俺達は、Aを斬りに来たんじゃない。連れ戻しに来たんだ」

黒「へぇ。なら、お前らも反逆者として消えることになるぞ？」

総「これはうちの問題でィ。あんたが首を突っ込むことじゃねぇ」

新選組と黒川達がいがみ合っている間に、床の間にある中心の柱の前に行く。その柱の表面を引っ張ると刀が安置されている。一族に伝わる大切な刀だ。

黒「そんな所に隠していたのか。どうりで見つからん筈だ」

あ「……この刀を探していたのか？」

黒「珍しい刀だからな。なんでも意思を持つ妖刀だとか」

この外道が。やろうとしてる事は盗賊と何らかわらないじゃないか。

こんな奴が江戸を守護するだと？

ふざけるな。我られがどれだけ身を粉にして、あらゆる脅威を未然に防いだと思っている！

コイツ等がのうのうと生きるためじゃない！！

あ「……許さない。叩き潰してやる！お前の策略も、何もかも全て！」

妖刀がひとりでにガタガタと煩いが、今は使うべきじゃない。

妖刀は腰に収め愛用の刀を構えた。