episode107 ページ14
あ「チッ。逃げ足だけは速いな」
追いかけるにもどこに隠れたか検討がつかない。奴のことだ。どうせしっぽを掴ませてはくれないだろ。
今は追いかけるよりは万事屋を開放する方が先か。
情けない顔してこちらを見ている三人。全く、強いのか弱いのかハッキリしない奴らだ。
銀「お前ほんとに……」
あ「聞いた通りだ」
張り付けた笑顔で鎖を一刀両断する。ジャラジャラと使い物にならなくなった鎖が3人の体から落ちていく。
新「嘘ですよね?……そんなはず無いですよね?」
あ「……」
神「嘘って言ってよ!いつもみたいに笑ってよAッ!」
何言ってるの?今も変わらず笑ってるじゃん。仇の下でずっと、ずっと笑ってきたじゃん。憎しみを隠して復讐心に蓋をして、いつもみたいに嘘の笑顔を貼り付けてさ。
銀「辛くなかったのか?一族の仇の側でずっと働いていてよ」
あ「あぁ、辛かった……殺気を隠し通すことが、ね?」
新「そんなッ!」
あ「私にあるのは復讐心だけ。それ以外、何もない」
銀「……」
なんだその目は。いつも死んだ魚のような目をしてるくせに、こういう時だけそんな目を向けるな。
あ「あの事件に関わった奴は1人として生かしておかない」
私の存在意義を誰にも奪わせるものか。
刀の柄がギリッと音を上げる。
抑えの効かない私の殺気は周りを圧倒した。
あ「お前ら、ここに来る前から既に私のことを知っていたな。誰から聞いた?」
新「……今のあなたには、言えません」
あ「へぇ、言えないんだ。警察の目の前で攘夷浪士を庇うなんて、さすが肝が座ってる」
新「ッ!」
あ「隠してたつもり?まぁ、何でもいいか……聞け、万事屋。これ以上この件に関わるな。例えお前等だろうと首突っ込むなら容赦しない」
新/神「!!!」
あ「桂からどう聞いているか察しはつくが、どうあれ私は余計な殺生は望まない。江戸にはまだお前達の様な奴らが必要だからな。だから、この件に首を突っ込まないなら、お前達が私の事を知っているのは忘れておいてやる」
新「でもそれじゃッ!」
あ「くどい。言っただろう?ここにいる私をお前達の知る私だと思うな。仲間を無惨に殺された私に慈悲の心なんてもう無い。邪魔だと判断したらすぐにその命をもらう。無駄死にしたくなれけばこの場からすぐに消えろ」
銀「お前はそれでいいのか?お前、アイツの事……」
あ「愚問だ。私はお前らが創り出した残虐非道の影の長。全ては復讐の為。全ては、目的を達成する為だ」
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年5月14日 0時