episode９５ ページ2
あ「これマズいですよね……」
近「あぁ、このままだと厳しいな」
新選組屯所の敷地内にある剣道場。今ここで、ある事情によりヤクザと試合をしていた。
時間は少し遡る。
事の発端は、黒川の手先に誘拐された事だ。私の正体を新選組にバラす事を目的としていた奴らに薬の実験台にされ、何とか追い返したは良いものの、悔しいことに毎日吐血を繰り返しほぼ寝たきりの生活を強いられていた。
そんな時、いつぞや見回りの時に揉めていたヤクザの仲裁をしたことで一方的に好意を持ってきたそのお頭。風見翔が解毒薬があると屯所を訪ねてきた。
風見は私が新選組を抜け、組に入ることを条件に解毒薬を渡すと言ってきた。当然、そんなのが受け入れられるわけもなく、私は風見の気持ちを逆手に突っぱね、動揺した所で条件を突きつけた。
それが、ここに至るまでの経緯だ。そして、私達が困っている最大の理由がこの試合である。
約束通り試合をすることとなり、その説明を近藤が。
近「出れるのは５人。勝敗は先に三本取った方が勝ちだ。勝ち抜きじゃねぇから、出る奴は全員用意しとけよ」
風「シンプルで良いな。そっちの大将は誰だ？」
あ「私です」
風「安心した。サシでやり合って勝たねぇことには受け入れてもらえそうにないからな」
土「大将が出る前に勝敗は決まる。その心配はいらねぇよ」
風「どうだろうな」
緊迫感に包まれ試合は開始された。
だが、最初の隊士の一人はあっさり負け、二人目は後少しの所で負けた。つまり、この後の試合に全て勝たなければこちらの負けなのだ。
自分は出るまでもないと高をくくっていた為、少々不安が募る。
隊「面目ないです、姉さん……」
あ「良いんですよ。私が起こした事態です。自分でケリをつけろってことなんですよ、きっと」
総「次は俺か。一瞬で終わらせてきやす」
土「油断するなよ」
総「わかってらァ」
総悟は言った通りにすぐに終えてきた。あまりの一瞬の事に風見達は目が点になっており、試合相手も何が起こったか分かっていないようだ。
相手「えっ……？？」
審判「いっ、一本！勝者、新選組、沖田総悟！」
総「出直してきな」
物足りない顔をして帰ってくる総悟。相変わらずの凄腕だ。
あ「さすが総悟だね。瞬きする暇もなかったよ」
総「あんな奴に時間なんかかかりやせんよ」
土「次は俺か。A、用意しとけよ」
あ「はい。土方さんも心配無用ですね」
土「たりめぇだ。俺のより自分の心配してろ」
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作者名：暇人の甘党 | 作成日時：2016年5月14日 0時
