都市伝説系歌い手５。【歌い手】

｛２０４｝side：いもうと ページ12

まー姉との通話を終わらせて、笹山のジジイを部屋に連れ戻す。

なにが「婆さんと修学旅行行く」だ。三途の川ツアー行くなら六紋銭チケット持ってきな()


ナースステーションに戻ってあれこれやってから、婦長さんに断ってぬー姉の病室に向かう。院長の父さんにその道中で抱きつかれそうになったけど、関節技で腕の関節外してやった。うざい。


つい昨日７階の７０６号室のネームプレートに入れられた「AA様」の文字。あ、ちなみに語呂合わせで706(なおる)ね？
ここがぬー姉に当てられた部屋だ。


ｽ-･･･


病院の部屋特有の、カラカラとかウィーンとかの音が出ないドアを開ける。

ついこの間まで白を基調とした、ずっと空室だった殺風景そのものだったのに。
今は、ぬー姉がベッドに横になっている。




いもうと「ぬー姉、多分今日イケメンイケボ集団来るよ」

A「･･････」

いもうと「まあどんな奴でも、ボクにとってはぬー姉の方がイケメンで美形で可愛くてかっこよくてえろいと思うけどね」

A「･･････」

いもうと「でもほんっと、犯人ムカつくよ。
ボクのぬー姉をこんな目に合わせてくれちゃってさー」

A「･･････」

いもうと「毎年お互いの誕生日のどっちかに会って、ぬー姉を独り占め出来るのにさー」

A「･･････」

いもうと「もう少しでボクらの誕生日なのに、犯人の事吊るし上げて公開処刑にしてやりたいくらいだよ」

A「･･････」




いつもなら、何かしらの相槌とかを返してくれるのに。


口には酸素マスク。
首や頭に巻かれた包帯。取れてこないように保護用ネットも着けられている。
右目はガーゼを当てられててそれをテープで留めてる。
左頬には擦り傷を保護する為に貼られた白いフィルムドレッシング(よくマンガとかで描かれてるあれ)。

･･･顔や頭だけじゃない。
右手には点滴が刺さってて(ちなみに針が刺しっぱなしになってる訳じゃなくてプラスチック製の細いストローみたいなやつ)、その先は輸液やら薬剤液。


布団をかけてるから見えないけど、右足首を強く捻ったらしく骨は折れてないけど脱臼してるからギプスで固定されてる。
身体のあちこちに大小様々な擦り傷も。

壁際には心電図やら血圧やらが表示されてるベッドサイドモニター。


･･･ほんっと、ムカつく。
人に怪我させるとか最低だろ。
もし犯人に会ったら五体不満足にしてやらなきゃ気が済まない。

･･････本当、ムカつく。

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