｛１７４｝side：luz ページ29
広い広い原っぱに、僕は立ってた。
さわさわと心地いい風が吹いてて、どこか懐かしい。
空は晴天。
その色は空色。
僕の好きな、Aさんみたいな色。
ぴちょん
水滴が跳ねる。
おかしいな、雨なんて降るはずない天気なのに。
ちゃぷん
･･･違う。
ううん、上から落ちてきてるんやない。
これは･･･っ。
下から湧いてきてる。
マグマみたいに、ゴボゴボって。
それも醜く濁った底無し沼みたいな黒い水。
あっと言う間に、若草色の草原が泥々しい黒になる。
なんや、これ･･･っ。
黒い水が僕の膝下まで達した時に、気がついた。
誰か居る。
僕の１０ｍ先くらいのところに、僕が大好きなわんこさん･･･Aさんが立ってた。
Aさんは、僕に気づいてないのかただ足元の黒い水を見つめている。
(あ･･･あかん、やめて･･･！)
黒い水が、Aさんの周りだけ動きがおかしい。
膝下から膝上へ、膝上から腰へ･･･まとわりつく蛇みたいに、ずぶずぶとAさんを黒く塗り潰していく。
(嫌や･･･、っ嫌や･･･！
わんこさん逃げて！！)
声が出ない。
助けたいのに、綺麗な空色を濁したくないのに。
黒い水がヘドロみたいに僕の足を押さえつける。
ふざけんなや、邪魔せんといてや･･･！
こうしてる間にも、Aさんは黒く濁っていく。
僕は必死に、手を伸ばした。
ふと、Aさんが僕の方を見る。
──にこっ
お日様みたいな、女の子の無邪気な笑顔を浮かべた瞬間。
ごぽりと、Aさんが黒い水に全部飲み込まれる。
そして･･･
どぷんっ！！
今まで黒かった水が、血みたいに紅くなって綺麗な空も広かった原っぱも僕自身も･･･全部全部、赤黒く染まった。
(ぁ･･･、あ･･････。
嘘や、なんで･･･なんで･･･！！)
『嘘やないよ』
耳元で、誰よりも聞き慣れた声がした。
は？え、なんで･･･僕の、声･･･。
『手を伸ばしたのに』
『間に合わなかった』
『目の前に居たのに』
『でも』
『あの子はどうやった？』
『僕の伸ばした手を掴もうとしてた？』
『間に合う距離やったん？』
『ほんまに目の前やった？』
(なに、言うて･･･)
『なあ』
『伸ばした手は』
『
『
僕そっくりの僕じゃない声が、無機質に響いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1003人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男性声優」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わんわん - 莉犬くんは声優だからいるんですか？ (2020年10月6日 21時) (
レス) id: 56b72fad6f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 語彙力のない長文失礼しました！ (2019年12月22日 14時) (レス) id: be6a770117 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - めっちゃ面白くて毎ページ進むごとに吹き出してますww面白すぎこの小説マジ推し！！って言うのを伝えたくて最後まで読んでないのにコメントしちゃいました！これからも更新頑張ってください！！！！とりあえず宮野さんのロケット頭突き好きです。新規子わんこです！ (2019年12月22日 14時) (レス) id: be6a770117 (このIDを非表示/違反報告)
暇犬(プロフ) - みんてぃあさん» コメントありがとうございます。概要にも書いてある通り、声優さんが登場します。歌い手活動だけして歌い手さんだけしか登場しない作品が読みたいのでしたら他の方が書いてる夢小説へお願いします。 (2019年9月1日 19時) (レス) id: 19fb70c740 (このIDを非表示/違反報告)
みんてぃあ - んんー？なんかもはや、歌い手じゃなくね？ww 声優さんは全然わかんない〜♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 0ceb643d74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暇犬
| 作成日時：2018年4月18日 6時
