都市伝説系歌い手。【歌い手】

｛３２｝side：そらる ページ33

犬派さんに半ば放心状態ではんぺんのぬいぐるみを渡して、俺はまふに支えられながらマンションに帰った。･･･らしい。
らしいと言うのは、そこら辺の記憶が曖昧だから。

で、夕方になってようやく落ち着いた。
正確には落ち着けないけど我には返った()
そして今、俺は自分の部屋でベッドに寝そべっている。




そらる「･････････う、っうわぁあああああああああああ！！！！！！
ま･･･っ、待って･･･！！ほんと、待って･･･！！！え、俺･･････犬派さんに･････････っ！！？？？」




待って。
本当に待ってくれ･･･！

俺の記憶が確かなら･･･いや、あんなの忘れようとしたって記憶喪失になったって鮮明に記憶に残せるっつーか忘れたくない永久保存レベルの案件だ()
とにかく。

･･･俺、犬派さんの家に行ったよな。まふと。
行って、ゴミ出しの時に言葉交わした人が来てその人が犬派さんで･･･やっぱスタイル良くて格好よくて･･･声綺麗で･･････。




そらる「それで･･･ええと、犬派さん本人だって意識したら･･･顔見れなくなって･･････。それから名前呼ばれて･･････微笑ま、れて･･････っッ･･･！！」


『･･････そらるさん』

『･･･いいコト、シない？』(イケボ)

『いいコト、シない？』(イケボ)(２回目)

『いいコト、シよっか』(イケボ)(ご都合修正)


そらる「っ･･･ッああああああああああああぁぁぁああああ！！！！！！！」(赤面)




い、いや無理無理無理無理無理無理無理･･･！！！！
思い出しただけでも叫ばずニヤけずにはいられないだろ、あんな･･･あんな･･･っ･･･！
かっこいい声で･･･あん、な･･･！

だ･･･だめだ、あの場面だけで半永久的に余韻に浸れる自信がある･･･。


あー、えーと･･･それから。
それか、ら･･･。



『･･･ねえ、そらる･･･』(えろボ)

『ふぅー･･･』(吐息)

(吐息)

(吐息)←(ここ重要)(そして強調)



そらる「っっあ、う･･･ぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお･･････！！！！」




色っぽく含んだ息遣い。
心臓を鷲掴(わしづか)みにされたような感覚。
色っぽく含んだ息遣い。(２回目)

耳に吹きかけられた瞬間、正直もうﾀﾋんだかと思った。
あれ、三途の川と花畑見えたから。マジで。橋渡し役の船頭、まふに似てた()


俺はそれから数日、仕事先でニヤけを抑えるのに労力を使った。

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