悪女体質持ち、回避します。 (ページ4)

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「ほんまにごめんな。ツム──あ、俺の片割れな、に教科書貸したまま帰ってきてないんや。」

宮治は申し訳なさそうに言って、机をこっちにくっつけた。

「いや、大丈夫。」

と言いつつ、心中穏やかではない。ついさっき危惧してたことがもう起こったんですけど。どういうこと。

でもまあ、教科書見せるだけだしいっかと思ったのが数分前。

「Zzzz………」

「………………」

こいつ……寝てやがる。

全然いいよ?別に?こっちとしては都合が非常にいいですけれども！

せっかく嫌々教科書見せてやってんのに寝るなよ全く。こんな近くでさ！

まあ起こさないけれども。

「じゃあまずここの問題を解いてもらおうか。中学生の範囲だから誰でも出来るよなー、ということで寝てるそこの宮！」

クラスが笑い声で包まれる。先生に当てられた宮治は何も知らずすやすやと爆睡している。

これ起こした方がいいのかな。起こした方がいいよね。はぁ。

「宮くん、当てられたよ」

つんつん、と腕をつついてみるも反応無し。気持ちよく寝てるところ悪いけど、早く起きてくれよ。

「宮くん、起きて」

今度は強めに叩いてみると、んぁ?と目を覚ました。んぁじゃねえよ。

「先生に当てられてるよ」

「えっ！！」

「堂々と爆睡とはいい度胸だな宮。そんだけ余裕ならこの問題だって解けるよな?」

焦ったようにがばっと身を起こして、真ん中に置かれた教科書を見る宮治。

この後固まって、「………is、…………?」と自信なさげに答えていたが答えが全く違う。

立っとけと先生に言われた彼は、「最悪や………」と肩を落とした。

「他にわかるやつ〜いるか?」

先生が教室中を見渡すが、みんな分からないみたいで、しーんとしている。

「誰もいないか…じゃあ宮！」

「えっまた！？」

うーんうーんと悩んでいる宮治。分からないようだ。まあ、見るからに英語(というか勉強)苦手そうだしな(悪口)

可哀想だし、助けてあげよう。

私がまたつんつんとつつくと宮治はん？と顔をこちらへ向けた。

「stillだよ、答え」

こそっと教えてあげるとぱっと目を輝かせて、「stillです！」と自信満々に答えていた。何ドヤ顔してんだよ。

座っていいぞと言われた宮治は、嬉しそうにこちらを向いた。

「Aさんありがとな！」