理由 ページ12
A「そうだったの？」
うん、と頷くチャニ。
正直びっくりだ。
だって、4月にクラスが同じになっただけで何も接点はなかったし、
それに地味な私は名前すら覚えていなかったかもしれないと思っていたから。
ﾁｬﾝ「委員会を決める前、1回図書室でAを見かけたんだ。その時、本を読んでる姿を見て、とても綺麗だと思った。」
A「え」
ﾁｬﾝ「その時から気になってて、委員会で喋るようになってから更に素敵な子だなって。」
待って。
頭が追いつかない。
私は今何を言われているのだろうか。
ﾁｬﾝ「でも、今思えばあの時から俺はAに夢中だったんだと思うよ。」
A「チャナ？」
あの時みたいに心臓が激しくなる。
ﾁｬﾝ「A、」
もう片方の手もぎゅっと握られる。
強い眼差しで見つめてくる彼の手は、温かくてほっとした。
ﾁｬﾝ「A。俺は、Aのことが好きです。会った時からずっと。」
A「え？」
ﾁｬﾝ「良かったら俺の事、ちゃんと男として見てほしい。友達じゃなくてさ。」
友達、という言葉が心の中で引っかかった。
最初は、チャニのことは話しやすいクラスメイトで、それから友達になっていった。
けど今は？
友達だと思っていたはずなのに、どうしてこんなにも違うと思うのだろうか。
友達の彼に、どうしてこんなにも胸が騒がしくなるのだろうか。
どうして顔が燃えるように熱いのだろうか。
照れながらはにかんだチャニが、「そろそろ帰ろっか。」と言った。
それと同時に離された両手がとても寒い。
全部、全部、病気なんかじゃない。
A「待って！」
歩き出したチャニの手を咄嗟に掴んだ。
今なら、理由が分かる。
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作者名：鎖夏 | 作成日時：2019年12月25日 0時
