牙 ページ10
「ぎゃららっ！」
「はぁんっと？」
「ひやままっ！」
「きゅおおっ！！」
暗闇の中、形も大きさも異なる8つの瞳がレイラに向けられる。
「……この岩……壊すよ」
ピッ、と指を差されれば、パートナー達は一斉に岩壁へ向き直った。
スウッ、と小さい呼吸音が響く。
そして、
「“アクアテール”、“銀色の風”、“ニトロチャージ”、“原始の力”」
相変わらずの平坦な声の指示と共に、4つの影が揺らいだ。
トンネル内は、一瞬目映い光に照らされる。
そして……
ドゴオォンッ！！
腹の底に響く重々しい音をたて、岩は粉々に砕け散った。
………
一瞬の出来事に、ミチルは目と口を開いて唖然としている。
対するレイラは平然とパートナーそれぞれの頭を撫で、ボールに戻していた。
「これで……いい？」
何も言わないミチルを促せば、慌てたように2、3度頷いてみせた。
と、
「ミチル……さん……」
掠れた声と共に、ヒタヒタと人影が近寄ってくる。
そこにいたのは筋肉質の体を作業着に押し込み、肩に薄汚れたタオルをかけた男。
日焼けをした顔には、未だ汗が伝っている。
彼とミチルは数秒見つめあった後、
静かに互いを抱き締めあった。
「……」
特に興味も無いようで、そそくさとその場を立ち去ろうとした彼女を男性が呼び止めた。
小さく振り返ったレイラに、男性が何かを差し出す。
彼のゴツい皮膚の手に乗せられていたのは、純白と言っても過言では無いほどの美しく鋭い牙。
「お礼には足りないかも知れないが……これを君に。ここを掘っていた時に見つけたんだ」
どうやらお守りとして持っていたその牙を、レイラへのお礼としたいらしい。
「……ありがとう……ございます」
慎重に牙を受け取り、軽い会釈をしたレイラ。
薄いハンカチでそれをくるんで鞄に入れ、彼女は今度こそトンネルをシダケシティの方向へ出ていったのだった。
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CrazyBook(プロフ) - コメントありがとうございます！本当に気長にお待ちください。 (2019年8月12日 9時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
菜々美 - この作品好きです！ゆっくりでいいので更新頑張ってください。 (2019年7月18日 16時) (レス) id: 179628e6fd (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - かしわさん» コメントありがとうございます！完結するまで更新し続けますので気長にお付き合いください！ (2019年3月24日 21時) (レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ - この作品好きです。更新頑張って下さい。 (2019年3月23日 1時) (レス) id: 356d08c55f (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - ルインさん» コメント、ありがとうございます！嬉しい限りです！これからも気長に読んでください！ (2018年7月19日 19時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2018年3月28日 22時
