拝啓、最愛の君へ【煉獄杏寿郎】【不死川実弥】

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「どうした？具合でも悪いのか？」


十一個目の芋羊羹を胃袋に収めた杏寿郎が心配そうにこちらを見ている。




『や、やだ。ごめんなさい。なんでもないの！』


「そうか、ならばいいが。
君は、笑っている顔が一番だからな！」


『もう、杏寿郎ったら…』


微笑んで頭を撫でてくれる彼が鈍感で良かったと、この時ばかりはそう思うのであった。







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「おーい、団子食べに来たんだが？」

「ったくお熱いねェ…」



ハッと我に返り入口を見やると、
戸にもたれ掛かりこちらを悪い笑みで見ている宇髄さんと、呆れ顔の不死川さんが。



杏寿郎の周りには昔から人が集まる。
人柄ゆえだろう。正義感が強くて、誰に対しても誠実な彼のことをよく思わない人はおそらくいないのではないだろうか。


そんな杏寿郎の紹介もあり、
この甘味処は鬼殺隊、それも柱の皆さんには特に贔屓にしてもらっている。
最近宇髄さん、不死川さんはよく来てくれていて、
特に不死川さんにいたってはおはぎが大層お気に召したらしく、頻度は三日に一回といったところか。



「宇髄さんはお団子でしたね。
不死川さんはいつものでいいのかしら？」


「あぁ、頼むわァ。」



そんなやりとりをし、
準備をするため一度厨房へと向かった。


後ろで宇髄さんが「いつもの、ねぇ？」と意味ありげに言っていたのが気がかりであったが、
杏寿郎の「俺も団子をもらおう！」という声に驚き、全てかき消されてしまった。



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