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とある日、私は煉獄家の前にいた。
杏寿郎の死後、訪れたのはこれが初めてだ。
あと一歩がなかなか踏み出せず、
門の前を行ったり来たりすることしかできない。




“もう少し、待っていてほしいの”




先日彼に言ったその言葉。
もう、自分の中で言い逃れは出来まい。
婚約者がいながら、他者に心が揺れ動くなど本来あってはならない。






どんな罵声も、覚悟していた。

深呼吸を二回、私は門をくぐった。













「義姉上…っ!来てくれたのですね…!」

千寿郎君が人懐っこい笑顔を浮かべ、
パタパタと走ってきて出迎えてくれた。
杏寿郎が槇寿郎様に私と結婚をしたいという話をしたあの日から、千寿郎君は私のことをAさんでなく義姉上と呼ぶようになった。


嬉しかった。本当の弟が出来たようで。
だけど今は、胸を針でチクチクと刺されるような痛みが走る。






「…来てくれたのだな。」

千寿郎君の頭を撫でていると、音もなく現れた槇寿郎様。


『あの…槇寿郎様。』

「わかっている。…こちらへ来なさい。」


促され、その背について行った。



















「A、何も言わなくていい。
大体の予想はついている。
……いるのだろう?杏寿郎の死後、君を絶望の底から救ってくれた者が。」














『…申し訳ありません…、私、私は…っ、』


「謝ることは無い。
杏寿郎もそれを望んでいるはずだ。」


顔を上げると、とても穏やかな顔と目が合った。





「君と杏寿郎が一緒になるのをとても楽しみにしていた。孫はどちらに似るのだろうと想像したりもした。


……だが、人生は一度きりだ。
杏寿郎がいない今、君をこの煉獄家に縛り付けるのはあまりにも酷で、身勝手だ。
君には幸せになってもらいたい。
それが、俺たちの総意だ。」


さぁこれを、と杏寿郎からの手紙を渡される。






泣くのは我慢した。
彼らの前で涙を流すのは、あまりにも卑怯だからだ。

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唯梨(プロフ) - 豆腐さん» はじめまして!そんなお言葉…嬉しいです😭😭書いてよかった…!ありがとうございます! (7月23日 22時) (レス) @page38 id: 52e22c892c (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 初めて夢小説を読んで涙が出ました。こんなに泣くとは思わず自分でも驚いております。とても素敵なお話お話でした。ありがとうございました。 (7月15日 16時) (レス) id: 5618040869 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わぁぁ…!読んでると自然と涙がでてくるあったかいお話……!心がほわぁっとするの…!(語彙力)そしてまってみいちゃん。煉獄さんと実弥さん書いてくれるの!ってことは少なくともあと2作みいちゃんの鬼滅が読めるってこと……?最高っ!!ありがとう!!大好きです。 (2021年7月22日 23時) (レス) id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - し、師範んんんん…!!!!やっぱり私何度読んでも、涙無くしてこのお話読めない……出てくる人皆温かい(ToT)本当に大好きなお話。リクエスト応えてくれて感謝しかない。そして、紹介までして貰っちゃって…びっくり!!ありがとう!! (2021年7月22日 22時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - ちょい悪な杏寿郎見たいです!唯梨さんの書く、実弥ハピエンも最強です!前回、実弥バッドエンドと言いながらも、コメントした時点で心折れました(ToT)チーン笑。 (2021年7月22日 21時) (レス) id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唯梨 | 作成日時:2021年7月22日 19時

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