近すぎて見えない [Hk×Yb]

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「気持ち悪りぃ。」




どんどん目の前が
真っ暗に染まっていく







耐えられずうつ向くと、

追い討ちをかけるように耳へ届く薮の声




「オレお前のこと嫌いだったから。
告白とか意味わかんねぇし」




ぐさりぐさりと心臓に
ナイフが突き刺さっていくように
胸が痛んだ




「だから………も、うっ、」




………少しの違和感。




「オレと、必要以上に関わんな、っ……！」





絶望を味わうには充分すぎる薮の言葉に



視界が醜く歪んでいく






でも、……………え？



声が、泣いてる？




顔をあげると




「なんでお前が泣いてるんだ、よっ……！」




静かにぼたりぼたりと

涙を溢し続ける薮の姿




「ん、、でもっ………！な、いっ！」




なんでお前が泣くんだよ。





泣きたいのはこっちだよ。




覚悟してて、諦めて、

捨て身で想いを伝えたけれど………





泣きてぇよ。泣きたいよ。





お前が振ったんだろ？




気持ち悪いんだろ？





「っ、うぅ。ぅ、………お前、
嫌いだか、ら……！気持ち、わるい、っ！」




それでも、涙を流し続ける薮は



悲しそうな、切なそうな、それでいて



全てを受け入れたような顔をしていた。






その顔は聖女のように
清らかで、美しく、儚い脆さを纏う。





「薮、なんで。」




「っ、ひっ……おかね、っ
明日に、はら…っ、から。」





その問いには答えず




ぐしぐしと袖で涙を粗っぽく拭き、



席を立つと

店の外へと駆け出していった





………何もわからない。




何故薮が泣いていたのかも




何故あんなにも美しく、儚い顔をしていたのかも。




それでも、分かることは一つ




オレは、薮に振られた。





…………ただ、それだけ。

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