【Im～イム～】白翼の乙女《第5章》 (ページ42)

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189話ページ42

「そなたは“世界を創り変える”と言ったな。

ならば何故支配者にはならない?

何故妾にその座を空け渡す?」

クレオパトラのその問いにジェゼルはこう答えた。

「それは俺の目指す夢じゃない。」

…

黒ジェゼ「なぁ？ジェゼル。」

まるで3000年前のあの日を再現した世界に2人の少年がいる。

1人はイムホテプ達と対峙したジェゼル、

もう1人は3000年前のジェゼル。

黒ジェゼ「クレオパトラが失敗した。
　マガイ・セトも消えた。
　イムとヘテプとその仲間が見事に邪魔してくれたよ。」

ジェゼル「…仲間(・・)…？」

黒ジェゼ「あーあ…、あのババァ絶対にヒスってんぞぉ～。
　これは今帰りついでに回収させに行ったお前の息子(セケムケト)が八つ当たり…」

「イムは『俺の』友達だ…ッ‼!」

黒ジェゼ「…どうした？
　この間は“イム達(・・・)に会えたー！”て喜んでたじゃねぇか！
　まぁ、セケムケトを創った時も喜んでただろ？」

黒いジェゼルの体が破裂する。

ジェゼル「お前も馴れ馴れしいんだよ…
　消えろ…‼!」

黒いジェゼルは笑った。

・

バサっ

その音で意識が現実に戻った。

セケム「父上、ただいま帰りましたました。」

ケセムケトが床に降り立つ。
その顔はどこかやつれていた。

黒ジェゼ「セケムケト、お帰り。
　外は楽しかったか？」
セケム「ええ。このお使いさえなければ…ね。」

笑顔が黒い。ひたすらに黒い。

黒ジェゼ「悪ぃな…(汗」

セケム「そう思うならこのババァをどうにかしやがれ、クソ親父。」

黒ジェゼ(おーおー、イラついて口が悪くなってラァ…。)

セケムケトは胸に抱えた包みを下ろし、一部の布を退かす。

セケム「本当に探すの海に沈んでいて大変でしたよ。
　最後に残っていたのが“頭蓋骨”でラッキーでしたね。」

現れたのは酷い状態のクレオパトラ(の頭部)だった。

クレオ「妾の体を今すぐ直せジェゼル王‼!
　あの腐った羊共ッッ‼!
　あの翼の小娘の血もろとも全員毒牙で肉を喰いちぎり、嬲り殺さねば気が済まぬ‼!」

ドカッ

クレオパトラの近くにセケムケトの大剣が刺さる。