【Im～イム～】白翼の乙女《第5章》 (ページ32)

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179話ページ32

ヤナ予感しかしないなー。

絶対に君の姉ちゃん(イシス)とひいじいちゃん(アトゥム)に言いつけたろ。

そう決心した時にセトが皆に聞こえるように大声で話す。

セト「かつて心優し～い王子を“マガイの王”に変えた奴は別にいる。」

イム「貴様、一体何のつもりで…‼」

はーやだやだ。

セト「立場をわからせてやってんだよ。
　お前が“救世主”だなんてアホな勘違いされちゃ困るじゃん。」

体、バチバチいってるよー。

セト「人間って単純だよなー。
　 “憎い” “怖い”だの言ってても恩が生まれりゃ絆される。
　感謝されれば調子に乗る。
　その連鎖が心地良くて“俺には人を助ける力があるんじゃないか⁉”なんて錯覚を起こす。」

あーあ。

ちょっと私、キレそうですね。

天妃「何が言いたい貴様。」

セト「あの時諦めてほっといてやらぁ、
　ジェゼルは英雄のまま死ねたのになぁ～～‼」

イラァ(怒)

セトはもっと憎めという。
元凶はイムだと。

セト「天妃…いやヘテプヘルネブティも哀れだよなぁ～‼
　あんなイムホテプとジェゼルと一緒にマガイを生み出した男が唯一血の繋がった兄貴だなんて…‼」

そろそろ殴って止めようかと思ったら、

ごっ

へ？
ハルちゃん？
一応性格捻くれてるけど、神だよ？
色々やっちゃってくれてるけど、神だよ？

ホラ周りの表情見てみ？

「お前、何してんだァアああああああ‼⁉」だよ？

そんなことを考えながらハラハラする。

晴吾「テメェら何つっ立ってんだ。
　 “黙って話聞け”なんて言われたのか？」

言われてませんね、ハイ。
つか、手ェ火傷してるよ…;

晴吾「“大罪人”と思い出したからまた憎むって？
　だから人間は愚直だって馬鹿にされんだろ。」

中々言いますね…晴吾さん…;

晴吾「テメェが神様だろうと、
　馬鹿にされてムカつかねぇ理由にはならねぇんだよ。」

セトなんてポカンとしてるよ。

晴吾「姉貴の兄貴ってことは俺にとっても兄貴みたいなもんだ。
　身内を馬鹿にされて怒らねぇ奴が何処にいる？」

これ兄さんが聞いたら、号泣だろうな。

「あ、感激で目から水が…」なんて言いそう。

そういう風に思ってるんだったら、悪い気はしないな。

そんなことを考えてると、
セトが鎌に乗って宙に浮く。