【Im～イム～】白翼の乙女《第5章》 (ページ30)

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177話ページ30

晴吾「オイ姉貴…、姉貴⁉」

イム「ヘテプ⁉」

うるさいな、少し黙っててくれ。
頭痛が酷いんだ。

イムの手が伸びる。
それが誰かの手と重なってしまった。

パチン

！

天妃「これは…違ッ」

イムの手を弾いてしまった。
よく分からない。

映像に映る中にイムや兄さん、私にそっくりな人がいる。

だけど、1人だけ顔が鮮明に映し出せれない。

呼吸ができない。

マガイ「ククク‼
　そいつは俺達生まれる前より…
　『九柱神が地獄の奥に封じていたモノ』だ。」

うるさいうるさい‼

思い出してしまった。

自分の真名(過去)を、大昔を…。

頭痛と吐き気が止まるけど、汗は止まらない。

マガイは忠告したその途中で雷に打たれた。

私は打っていない。

そして神の気配がする。
この世界で雷を打てる神は限られている。

晴吾とイムを私の後ろに引っ張る。

「へぇ、そいつが俺のニセモンかぁ。」

晴天に似合わない落雷が起きる。
来る衝撃を結界で阻む。

天妃「あー、マジで死ねよ。」

イムの名を叫ぶ宙に浮かぶ少年。

あのマジで本部(エジプト)に帰って。
お願い。

イム「誰ぞ⁉」

天妃「九柱神が一人、第8の神“セト”神だ。」

本物のな。

セト「相変わらずだな。
　あの時と変わらず、九柱神(俺達)を敵を見る瞳で見上げてやがる。」

黙れ、レタス【ピーーー】野郎。
本当にあの世に還れ。

もう逝っていいよ⁉

そんなことを思ってると先輩達に跪かされた。
屈辱です。

オイ、若造(セト)。
笑うなや。

セト「4年ぶりじゃねぇか、天妃。
　まだ、死んでねぇのか。
　あと俺は構わんぞ、八咫。黒服はまだ知る資格がねぇんだから。」

そう言ってセトは支部長を咎めるように言う。

セト「にしても天妃、お前は跪く必要はねぇだろ。
　お前も俺らと同類なんだから。」

ハイハイ、皆さん私に視線を向けないで。
刺さってる刺さってる。

これ以上余計なこと言うなよ…;

天妃「君達と同類にしないでくれ給え。
　甥っ子君に負けた成り損ないのセト君？」

セト「おっと、その様子じゃ思い出したようで本人のようだな。」

天妃「皮肉にも先ほど君が消した、君のマガイのおかげでね。」

お互いに笑い合うが目は笑っていない。
もうやだ。もうお家に帰りたい。