光の君(ymin)

改1日目 ページ5

ym side

ドラマの撮影がはじまると激務モード。
朝早くから夜遅くまでの拘束。働き方改革はありがたく、ド深夜までの撮影は、ほぼ無くなったけど、撮影が終わっても、家に帰ってセリフの確認をしたりと忙しい。

そんな生活をずっと続けて来た。その合間にグループの仕事もあるし、ゲームもしたいし、する。
当たり前な人生のルーティン。

その人生のルーティンに“伊野尾慧”が加わったのは、もう何年も前。

ドラマの撮影の帰り、マネージャーに送ってもらいながら、ふと思ってしまえば、会いたくてたまらなくなる。
行き先を変えてもらえば、マネージャーは苦笑い。明日の朝の迎えの場所を告げれば、さらに苦笑い。

「もう若くないんですから、ほどほどに」なんて車から降りる時に言われたけど、知るか！

慧の部屋に入るためにセキュリティーを何個か、我が知り顔で通り抜けてエレベーターを待っている時に電話をすれば、可愛い声が聞こえて来た。

伊「・・・山ちゃん？」
山「誰からか確認しないで電話出たの？無用心だなぁ(笑)」
伊「ぶぅ。だって山ちゃん以外、いないもん。電話して来る人」

まったく、こっちが嬉しくなる言葉を無自覚で言うんだから、可愛くて仕方がない。
にやにやしながら、エレベーターに乗る。

山「寝てた？」
伊「うとうとしてたぁ」
山「今、エレベーター」
伊「へっ？」
山「ふはっあと1分」
伊「ええっ！？」

エレベーターの扉が開いたから、電話を切って玄関のドアのキーを解除しようとしたら、勝手に開いた。

だから、無用心だっての。

勝手に開いたドアの取っ手を引っ張って、中に入れば、髪がぼっさぼさで、可愛げも何もない着古したスウェットなのに、史上最強に可愛い顔した恋人が真っ赤な顔して、迎えてくれた。

山「ただいま〜」
伊「おっおかえりぃ」

靴を脱げば、それをトレーナーの裾をいじいじ触りなら、見てるから思わず、にやりとしてしまう。

伊「もうちょっと早く、連絡してよ」
山「なんでぇ」
伊「いろいろ準備がさあ」

だよね。
準備しちゃうんだもん。あんた。
可愛いパジャマ着て、髪の毛をナチュラルにふわふわさせて、お風呂に入って、自分でうしろをほぐしてしまう。

だから、直前なのよ。伊野尾さん。

山「お風呂、入りたい」
伊「うっうん」
山「一緒に入ろ」
伊「俺、入っちゃったから」
山「また、入ろ」

俺がお風呂に入ってる間に、自分でえっちの準備なんか、させないんだから。
美味しい所は、譲れないのよ。

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