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…
「ねぇ、照。」
「ん？」
「こんなにすぐ、授かるものなんだね…。」
「だって俺、強いし。」
涼しい顔で言ってのける。
あぁ。私この人のこういうところ大好きだな。
病院を出て駅まで歩いている途中、交差点で信号待ちをしてるときに照が言った。
「あのさ…Aが仕事大切なの分かるし責任感の強いとこも分かってるけど。」
「…。」
「子供のこと守れるのはAしかいないから、絶対に無理はしないでほしい。」
照の優しい声と表情に、思わず涙が浮かんで来てしまう。
「…うん、」
「やっぱり妊娠すると繊細になっちゃうんだね。大丈夫だよ俺がAのことは守るから。」
言葉が続けられない私の頭を、彼は優しく撫でてくれた。信号が青に変わっても、私の涙が止まるまでずっと。
それから。
私は体の変化はほぼなくて、照に無理してない？って心配されるくらい順調に仕事を続けていた。
だけど。ある日、営業部の会議が終わりを迎えたとき、部長が私を呼び止めた。
「Aさん、ちょっと。」
「はい。」
「…やっぱり身重の君を今までどおり働かせるわけにいかないと思うんだよ。何かあったら困るでしょう。」
「それは、どういう意味でしょうか。」
この会社ができたときに他の会社から引き抜かれて来た部長は、女は家庭を守るものという考えの人だ。
「周りが迷惑だと思う前に辞めるとか内勤に異動願いを出すとか考えてもらえないか。」
精神的に追い込むつもりなのかとかちんと来た時、私の前に立ちはだかる人がいた。
「部長、それは違うんじゃないですか。」
「…岩本くん、私情を挟んでもらっては困るな。」
「私情を挟むというよりも今の時代、妊娠を理由に退職を迫ることは違法になりますし。未来のある企業としてわが社もきちんと制度を定めるべきだと先日専務がおっしゃってましたよ。」
「専務が？」
専務は、社長の甥で。ベンチャー企業で役員をしていたけど、後継者として一昨年専務に就任した。
若いから、という理由で部長たちからは煙たがられている。
「部長、何かありましたか？」
タイミング良くそこに専務が現れて、照は私が妊娠していることを専務に報告した。
部長も専務の前では何も言えず、そこからトントン拍子に社内規定の改正が進められることになった。
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みち(プロフ) - うみ♪さん» うみ♪さんコメントありがとうございます。以前も読んでくださってたんですね。不思議なめぐり合わせ、とても嬉しいです!また読んでやってくださいね。 (2021年1月31日 15時) (
レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
うみ♪ - こんばんは！初コメです！ケンティーメインのお話の時から好きで、ずっとまた作品見たいなあと思っていてひーくんメインのお話で覗いて見たら作者にみちさんのお名前が！！こんなことってある！？ってなりました！過去作も読ませてもらってます！ (2021年1月31日 0時) (レス) id: ebee9b3126 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - まりんさん» コメントありがとうございます。このふたりには幸せになってほしいので。その後を書くことにしました。これからもよろしくお願いします。 (2020年8月27日 20時) (レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
まりん - 続編ありがとうございます。幸せな2人の今後の展開がとても楽しみです。更新ありがとうございます。 (2020年8月24日 22時) (レス) id: f071218485 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - おこりさん» コメントありがとうございます。更新なかなかできない時もあったのでお待たせしていたかもしれませんが、読んでいただいて嬉しいです！また番外編書くつもりなので、また読んでやってください！ (2020年8月17日 12時) (レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みち
| 作成日時：2020年2月24日 21時
