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side K.Akito
話が弾みに弾みまくり、夕飯まで一緒に食べた。
外を見れば真っ暗。だいぶ遅い時間になってしまったようだ。
『おや、もうこんな時間じゃないか。
すみません、長居してしまって。』
中「大丈夫やで。たくさん話せて楽しかった。」
そう言う淳太くんは本当に嬉しそう。
実の家族に再会できるなんてそうそう無いから、嬉しくて仕方ないのだろう。
『兄さん、俺達1週間は日本にいるからさ。
ご飯とか食べに行こ。連絡するな。』
中「おん、待ってる。」
これこそ理想の家族というものだろうか。
俺達にはないもの。
少し羨ましい。
『じゃあ、私達はこれで。
近くのホテルに滞在しているので、
またお声がけください。』
そう言って、淳太くんのお父さんと弟くんが出ていこうとする。
ヒラリと、お父さんのポケットから何かが落ちた。
桐「あ、お父さん。これ、落としましたよ。」
なんとなくそれを読んでしまった。
そこには勤め先や電話番号、そして名前が書いてあった。
いわゆる名刺だ。
桐「…あれ、お父さんの名前って…。」
淳太くんのお父さんだから苗字は“中間”のはず。
なのに、その紙に中間の文字は無かった。
それに、この名前。確か、どこかで…。
桐『へえ、今回の依頼人は外国の人なんやな。』
中『おん、台湾の人っぽいで。
河崎夫妻、海外の人から恨み買ってたんやな。』
河崎夫妻暗殺の任務、資料に書いてあった依頼人の名前。
そして、この名刺に書いてある名前。
この既視感は…
『しー。』
淳太くんのお父さんが人差し指を唇に当て、不敵に微笑む。
まるで、“何も言うな”とでも言うように。
桐「…また来てください。いくらでもご馳走します。」
2人を見送る。
まさか、な。
でも、あの名前の既視感が本物だとしたら。
桐「…淳太くん、親の愛情って時には怖いんやな。」
中「は？」
背筋がゾワっとした。
Fin
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作者名：百瀬 花楓 | 作成日時：2023年11月10日 15時
