Killers West Diary (ページ1)

今日:22 hit、昨日:9 hit、合計:14,703 hit

Diary N.J ページ1

〜14年前〜

『すまん、淳太。

お前は幸せに暮らしてな。』

『にいちゃん…。』

オトンのつらそうな顔が、弟の寂しそうな顔が、頭から離れない。
既に小学生になっていた俺は、友達と離ればなれにならないようにと、施設に預けられた。
そうすれば、転校する必要は無くなるから。

中「ぼく、1人でも大丈夫や！

だから…。」

“いつか迎えに来て”とは、言えなかった。

言いたいことも言えずに黙り込んだ俺の頭を、オトンが優しく撫でる。
小さい弟は目に涙を溜めていて、今にも零れ落ちそう。

中「ゆうた、また遊ぼうな。」

『にいちゃん…。約束やで！』

2人の子供の健気な声が、響いた。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

中「照史、これ持ってくな。」

桐「あ、これも頼む！」

休日のお昼時。
平日ももちろん混むけど、休日はもっと凄い。
あまりにも混むから休日だけでも予約制にするくらいだ。

中「おまたせしました。ご注文の品です。」

『あら淳ちゃん、ありがとうね。』

『淳ちゃんが働くようになってくれて

嬉しいわ。』

この人達は、開店当初から常連のマダム達。
争奪戦らしい予約だって、いつももぎ取って来てくれる。
淳ちゃんと呼んで可愛がってくれる。
こういうお客さんがいると、とても落ち着くのでありがたい。

中「ありがとうございます。俺も、お客様達が

来てくださるととても嬉しいです。

落ち着きます。」

『あらあら、実家みたいな感じかしらね？』

『嬉しいわ。』

微笑みながらそう言う2人に会釈をして、厨房へと向かった。

実家って、なんだろう。
幼い頃に母親を亡くし、父親と弟と離れた俺には実家が分からない。
他の皆もそうだろうけど。
あ、でも流星は家族がいる実家があるんだっけ。

流「淳太、どないしたん？疲れた？」

ちょうどいい所に。

中「平気。なあ流星、実家ってどんなん？」

流星はキョトンと首を傾げた。