42 ページ42
side K.Akito
熱い。熱い。熱い。
吹き付ける熱風に咳き込みながら、ただ前へと進む。
中｢ケホッ…ケホッ…｣
どこからか、彼が咳き込む音が聞こえる
微かな音を頼りに進んでいくと、階段の一段目に彼が座り込んでいた。
火は階段の上までは広がっていないようだった。
逃げようとしたのだろうか。
桐｢淳太、くん…！何してんねん、早う、逃げんぞ…！｣
中｢…あき、と…？なんで……？｣
桐｢お前が、帰ってこないからやろ…！
無線繋いでみたら火の音するし…。
死ぬのなんて許さへんからな！｣
このまま階段を登れば、火からは逃れられる。
そのまま2階の窓から逃げればいい。
彼を抱えようとすると、か細い声が聞こえた。
中｢…俺、何も変われてない…。
夜も眠れない、ご飯も食べられない。
こんな俺、いらないやろ…！｣
眠ったか確認しに行けば、彼は穏やかに寝息を立てて眠っていたはずだ。
ご飯も少量ではあるが、食べていたはず。
でも、それが全て“フリ”だったとしたら。
彼は、無理をしていた？
否、俺達が無理をさせていたのかもしれない。
中｢…せや、から…オカンのところ、いこうとして…。
でも、いざいこうとしたら怖くなって…！
皆に会えなくなるの、怖くなって…。｣
2階に逃げようとしたが、煙を多く吸い込んだ身体は上手く動いてくれなかったと、彼は言った。
彼が死のうとしていたことは悲しい。
でも、俺達を思い出して生きようとしてくれたことに、嬉しさも感じた。
桐｢…とりあえず、外に出よう。話は後や。
淳太くん、しっかり掴まっててな。｣
彼を抱えようとする。
どこからか、ミシミシという音が聞こえた。
…頭上からだ。
中｢…ッ！｣
桐｢ぐっ…。｣
突然、強い力で突き飛ばされた。
彼が出せるとは思えないような力で。
急いで顔を上げると、彼の頭上にあった梁が落ちてくるところだった。
そこは、俺がついさっきまでいた場所。
彼は、俺が下敷きにならないように突き飛ばしたのだ。
桐｢淳太っ！｣
彼の姿は、もう見えなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1050人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百瀬 花楓(プロフ) - かえでさん» 全て読んでいただきありがとうございました！面白かったのなら何よりです。暖かい言葉、ありがとうございます。Diaryも更新していくので、そちらもぜひご覧下さい！応援ありがとうございました🥹 (11月7日 16時) (
レス) @page46 id: a2bf7368f1 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - 百瀬 花楓さん» 今全部見返し終わりました！！！本当に面白かったです💭💞そして完結お疲れ様です！！！！更新お疲れ様でした🫶✨ (11月5日 16時) (レス) id: 363c0c7cca (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 花楓(プロフ) - かえでさん» コメントありがとうございます！！名前同じですね☺️なかなか続きが思い浮かばずどうしよう…となって2ヶ月以上経っていましたね、本当にすみません。続きを楽しみにしてくださることが、とても励みになります！！更新頑張ります💪 (9月2日 20時) (レス) id: 7d448f9f7b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - このシリーズめちゃくちゃ好きです…！！！今まで読んできたジャニーズWESTの殺し屋・マフィア系の小説の中で一番好きな作品です。続き楽しみにして毎日頑張りたいと思います😊 (8月9日 12時) (レス) id: 363c0c7cca (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 花楓(プロフ) - 沙耶さん» ありがとうございます！全然更新出来ていませんが、続きを待ってくださる方がいるだけでとても励みになります。お待たせしてしまうと思いますが、待っていただけると嬉しいです。今後もよろしくお願いします！！ (2022年12月28日 0時) (レス) id: dd80aa79c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：百瀬 花楓 | 作成日時：2021年8月14日 19時
