Killers West 5 (ページ4)

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side N.Junta

“ガチャン”という音が、やけに部屋に響いた。
真っ直ぐ机に向かえば、そこには最後のページまで黒くなったノートが、5冊。

中｢……。｣

言えなかった。

“ノートが終わってしもうたから、買ってきてくれへん？”

何度も何度も、頭の中でシミュレーションしたはずなのにできなかった。

中｢ノートが終わってしもうたから、買ってきてく

れへん？｣

部屋の外に聞こえないよう、小さな声で呟いた。

1人の時なら、言う前に詰まることもないし、最近は口調が平坦になることもなくなった。
なのに、人と話すとなるとどうしてもそれができなくなる。

結局俺は、あの頃から何も変われてない。

“よし、言おう、言おう”

そう、意気込んで人の元へ行くのに、相手を前にした瞬間躊躇ってしまう。

“言って否定されたら？嫌なことを言われたら？”

そればかりが頭をぐるぐる回って、結局決意は無駄になる。

中｢…やから俺は…。｣

無意識に、口に出していた。
と同時に、ヒュッという音がどこからが聞こえた。

嗚呼、まただ。
息ができず、苦しさだけが増していく。
また俺は変われない。前と同じやないか。

中｢ゲホッ、ヒュー、ヒュー…。｣

服の胸元を握りしめ、床に蹲った。
ヘッドフォンをしてもどうせ治らないのだろう。
別に“あの人達”の声が聞こえる訳ではないから。

重｢なぁ淳太ー、入ってもええ？

何で淳太が部屋に来たんか考え出したら居てもた

ってもいられへんくなってん。｣

俺の状況に似合わない軽快な音が響いた。
返事ができるはずもない。
ただ嫌な音だけが響き続ける。

重｢淳太ー？入るでー…淳太っ！？｣

いつもの笑顔が焦りと驚きに変わったのを認めて、俺は意識を手放した。