【銀魂】光翼鳥の剣：re1 (ページ41)

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三十九話ページ41

屯所への道を静かに歩くA。

心中はあれこれと考えながらも、足取りは確実だった。

思っているほど、迷いはないのかもしれない。

Aは先程の銀時達の姿を思い出す。

羨ましい、と思った。

自分もあんな場所を作りたいと。

明確な目的もなく、ただ江戸までやってきたAだったが、今こうして漸くしたいことが見つかった気がした。

そのためには、今のままではいけない。

そのように考え事をしていたからだろうか。

屯所まで着くのは思っていたよりあっという間だった。

(門、閉められていないかな)

ふと不安になったが、門前の人影に気づいた瞬間、そのことは頭から吹っ飛んだ。

「土方さん………？」

その声に反応して、土方がAの方に視線を動かす。

それなりの時間待っていたのか、辺りには煙草の匂いが漂っていた。

誰かが待っていたという事実だけでも驚くというのに、それがさらに土方だというのだから、Aは自分の目を疑った。

ごしごしと目元をこすってみても、当然目の前の光景は変わらない。

土方はそんなAの顔を見やると、訝しげに目を細めた。

「…………何があった」

ハッと気づいて、Aは思わず顔に手を触れる。

先程まで泣いていたのだ。

今の自分は、きっと酷い顔をしているに違いない。

この時ばかりは、夜を照らす街灯の存在が恨めしかった。

Aは涙の跡を確かめるように目尻に触れると、やがてゆっくりと手を降ろした。

「………神楽ちゃん達が、大切なものを見つけてきてくれたんです」

「大切なもの？」

「友人を」

「…………ああ、あいつら一応万事屋だったな」

土方は興味なさそうにそう呟くと、Aから目をそらした。

何か言いたそうにしながら、指先で煙草を弄ぶ。

しかし、土方に言いたいことがあるのはAも同じだった。

「あの、土方さん今日のお昼は」

「昼間は悪かった」

唐突に、土方はぼそりと呟くように言う。

Aは思わず口を噤み、その姿を凝視した。

気まずげにそらされた視線。

煙草を弄る落ち着かない手元。

(――――この人は)

不器用な人だ。

Aはつかえたものが胸にすとんと落ちるのを感じた。