45話 ページ47
紫「南山達の話だと、お前に買い出しを押し付けられて、断ろうとしたら突き飛ばされて怪我をしたって言ってたけど。本当はどうしたんだ?」
『コンビニの帰りに、後ろからハンカチで口を塞がれて…それで気を失いました。』
紫「それでおでこを切ったんだな。」
『はい…』
ケントは何かを考えるように腕を組む。
『先生達が私の事を信じてくれるのは凄く心強いです。だけど、どちらが正しいか証明する証拠はありません。』
紫「確かにそうだな。」
『そこで先生達が最初から私が正しいと主張する事は、きっと彼女たちの反感を買うと思います。』
紫「うーん…」
『だから、明らかな証拠が見つかるまで、先生達は中立の立場でいてください。』
Aの言葉にケントは目を見開いた。
紫「だけどっ」
『私が悪く言われるのは、慣れてるし気にしません。けど、先生達が何か言われるのは嫌です。だから、お願いします。』
そう言って頭を下げた。
ケントは少し考えた後、ゆっくりと頷く。
紫「分かった。要は証拠が見つかればいいんだよな。」
『先生?』
紫「それまでは中立を維持するようにメンバーにも言っておく。」
『ありがとうございます。』
紫「これだけは覚えておけよ。俺達はお前を信じてる。だから、お前も俺達を信じろ。」
力強いケントの言葉と、真っ直ぐな瞳にAの心臓がドクンと高鳴った。
『はっはい…』
うっすら色づき始めた頬を隠すように下を向いた。
すると自分の上に影が差したことを気づく。
ふと顔を上げたAの視界一杯にケントの顔。
『せん、せ…い?』
瞬間、チュッとおでこのガーゼに触れた何か。
Aはパチパチと瞬きを繰り返した。
紫「A。」
愛しそうな、苦しそうな、そんな表情でAを見つめるケントに、彼女は思わず息を呑んだ。
紫「守れなくて、ごめんな?」
目を伏せたケントの大きな手がAの髪を撫でる。
バクバクバクとうるさいくらいに音を立てる心臓をギュッと抑えるA。
紫「これからはちゃんと俺が守るから。」
髪を撫でていた手が肩に落ちると、構わず彼女の肩を引き寄せた。
『ッ!っ』
ケントの腕に閉じ込められたAは声にならない声を発する。
紫「怖いか?」
響くように伝わるケントの声に、Aは細かく首を振って答えた。
紫「いやなら、突き飛ばしてくれ。」
ケントは背中に回した腕を緩める。
しかしAはソッとケントの背中に腕を回した。
『温かい…』
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炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時