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44話 ページ46

案内された部屋で、手当てをしてもらう。

聞くところによると、私の手当てをしてくれているこのお方…椎名さんは最も長く九瓏家に仕えているらしい。

椎「A様は、ケント坊ちゃまの生徒さんでいらっしゃるんですよね?」

『はい。』

椎「どうですか?学校でのケント坊ちゃまは。」

『とてもかっこよくて、頼りになる先生です。』

椎「そうですか。それは嬉しゅうございます。」

本当に嬉しそうな笑顔の椎名さんに、私もつられて笑顔になった。

椎「ケント坊ちゃまがこのお屋敷に生徒さんを連れてこられたのは、A様が初めてなんです。」

『そうなんですか?』

椎「はい。正直申しまして、私達も驚きました。」

『あの時は致し方なかったというか…』

椎「存じております。ですが…長年、坊ちゃまを見てきた私からすると…」

『何です?』

椎「あっ、いえ。おしゃべりがすぎました。」

椎名さんはそれきり話題を変えてしまった。

今、何を言おうとしたのか、それは聞けないまま。

椎「さあ、手当ても終わりました。ケント坊ちゃまもお待ちですし、戻りましょう。」

『はい…ありがとうございました。』

椎名さんに案内され、入った部屋には既に先生がくつろいでいた。

紫「おー。終わった?」

椎「はい。見た目よりも傷は浅いようなので、病院には行かなくても平気かと思います。」

紫「そう。ありがとう。もう下がっていいぞ。」

椎「失礼いたします。」

優雅に一礼すると、音もなく部屋から出て行った椎名さん。

その背中をぼーっと見つめてしまった。

紫「Aは執事が好き?」

『え?』

問いかけられて、先生へと振り向けばからかわれているのだと分かった。

紫「何なら家の執事、貸すよ?」

『そんなんじゃないです。ただ、綺麗だなっと思って。』

紫「綺麗?」

『立ち振る舞いとか、先生に対する想いとか。』

先ほどの事を思い出すと、心の底から先生に仕えているんだなと分かった。

多分、そこまで思えるのは…先生が主人としてとても素敵だからなんだろう。

紫「何のこと?」

きょとんと首を傾げる先生に、先ほどのお返しをする。

『こっちの話です。』

紫「えー?何々?」

『内緒です。』

紫「ふーん。後で椎名に聞くからいいもん。」

『あー!ダメですよ!』

私の反撃もどうやら無駄に終わったようだ。

先生は「んふふー」と笑っていた。

紫「それより、」

急に真面目な雰囲気になったケント先生に思わず息を呑んだ。

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炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時

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