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43話 ページ45

『んんっ…いたっ…』

すっかり暗くなった空に、地面へ倒れ込んでいる。

倒れた時に出来たのか、額に小さな切り傷がありそこから出血していた。

ゆっくりと体を起こすと、額の痛みに顔を歪める。

『私…どうして…』

まだはっきりしない頭で思い返せば、コンビニの帰りにいきなり薬品をかがされて気絶したことを思い出す。

ハッとして体についた泥もそのままに走り出した。

走ってたどり着いたのはダンス部の部室。

しかし、部室には鍵がかかり、室内も暗くなっていた。

『やっぱり…帰っちゃったよね…』

ドアに寄りかかれば、一気に襲ってくる疲労感。

ずるずると座り込んで、溜め気を吐いた。

「ため息つくと、幸せが逃げるんだぞ?」

『え…』

暗い廊下の向こうから歩いてくる影が、ぼんやりと見えた。

窓から差し込む月の光で照らされたのは…

『先生…』

紫「心配したんだぞ。」

ケントの手にはAの荷物。

『すいません…』

紫「まさか荷物おいて帰るわけないと思って、待って正解だったな。」

『待っててくれたんですか…?』

紫「おう。さっきまでアキラ達もいたんだけど。下校時間だったからな。帰らせた。」

連絡も入れず戻らなかった私を、皆が待っていてくれたという事実に言葉が見つからなかった。

ケントはAの前に腰を下ろすと、険しい顔をして前髪をよける。

紫「どうした…これ。」

『転んだ時に、切れちゃったみたいで…』

一瞬悲しそうな顔をすると、Aの手を引いて立ち上がった。

『先生…?』

紫「とりあえず手当だ。それに下校時間過ぎてるから、早く出ないと。」

ケントに手を引かれるまま、Aは後を付いて行く。

紫「南山達が、アイス持ってきた。」

『南山さん達が…』

まさしくAを目の敵にし、率先していじめを行っていた集団。

南山はその中でもリーダーのような存在だ。

紫「お前に買いに行けって脅されたって言ってたぞ。」

『えっ!?私そんな事っ…』

紫「分かってるよ。アルスのメンバーは皆分かってる。お前がそんな事する奴じゃないって。」

ケントの言葉にAは安心した表情を見せた。

そのままケントはAを乗せ車を走らせる。

着いたのは彼の自宅。

今日も今日とて、きちんと整列して彼を迎える執事たちに、Aは思わずぺこりと慌てて頭を下げた。

紫「手当してやってくれ。」

「かしこまりました。A様、こちらへ。」

『あっ、はいっ…』

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炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時

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